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COLUMN

人事コラム

人材育成

人材ポートフォリオについて(4)

下里 祐司

2016.08.09

前回は、将来目指す「人材ポートフォリオ」と現状の「人材マップ」によるギャップ分析に必要な情報と、現状把握する際の注意点をご紹介しました。
今回はギャップの解消方法と、システムによるサポート方法をご紹介します。

ギャップの解消方法

1.スキル保持状況把握により発生するギャップ
 人材ポートフォリオで定めた「将来必要となるスキル保持人材数」に対し、「今後見込まれる増減人数」の差。

【ギャップ解消の方策】
JOBローテーション:対象スキル習得が期待できる業務へ必要な人数を異動させ、業務を通して人数を増やしていく。
教育・資格取得:研修や資格取得をさせることにより、必要な知識・スキルを習得させることで人数を増やしていく。
採用:必要なスキルを持った人材を新たに採用することで人数を増やしていく。

2.年齢ピラミッドの把握により発生するギャップ
 将来必要な年齢ピラミッドに対し、成行き予測のシミュレーションにより判明した「各年齢層の過不足」や「人材コストの超過」

【ギャップ解消の方策】
採用:不足が予想される年齢層に対して中途採用で人数を増やしていく。
ローテーション:今後注力し人的資源を集中していく伸張部門へ、人材を異動させ、部門間で年齢ピラミッドの調整を行う。
制度変更:報酬の見直しによりコスト削減。定年延長することで、熟練したスキル人材を確保。
年齢ピラミッドの影響を受けやすい年功的な制度から成果にウェイトを置いた制度への変更。

3.資格層・役職者の把握により発生するギャップ
 将来の事業展開や組織維持に必要な役職者や資格層に対し、成行き予測シミュレーションにより判明した余剰・不足。

【ギャップ解消の方策】
制度変更:予定より多くなる場合、制度の変更などで必要なポートフォリオに近づける。(不利益変更にならないよう注意が必要。)
役職定年制の採用。
採用:予定より少なくなる場合、不足が予想される資格層、役職に対して中途採用やヘッドハンティングで人数を増やしていく。
育成:少ない場合OFF-JT(※1)、OJTを活用し、必要となる役職者や資格層を育成し、人材を増やしていく。
雇用調整:出向等の雇用調整を行う。

システムによるサポート方法

次にシステムによるサポート方法をご紹介します。
育成やJOBローテーションでは、対象者の抽出と育成の計画や方法が重要になってきます。対象者の抽出は、収集・蓄積したデータを保管している人事情報管理などのシステムが活躍します。このようなシステムから育成やJOBローテーションに適した年齢層・資格層・スキルの人材を抽出し、対象者をリストアップすることが可能です。
育成やJOBローテーションの計画や方法については、CDP(※2)などの将来の求めるスキルに応じたキャリア開発の計画構築をサポートするシステムの利用がおすすめです。
また実際のキャリア開発においてはe-LearningなどのOFF-JTをサポートするシステムの活用が期待できます。
各システムから収集したデータを人事情報管理システムに集約、更新することで、常に最新の「人材マップ」を作成することが可能になります。

これまでにご紹介した内容は一例に過ぎませんが、このように「人材ポートフォリオ」を軸に、色々な手法・手段をシステムのサポートを受けながら実現することで、統合的な人材管理が可能となります。
今後、人事戦略を策定し実行する際に、今回ご紹介した人材管理の手法がご参考になれば幸いです。

今回を持ちまして統合的な人材管理をテーマとしてのコラムは最終回とさせていただきます。
また、新たなテーマにて、今後も不定期にコラムを掲載させていただきます。
ご興味を持っていただけた方は、次回もご覧いただければと思います。

 

 

  • ※1 OFF-JT(OFF-the-Job Training) 職場外での教育訓練。特に集合研修、講習会、通信教育等、日常の業務を離れて行う教育訓練
  • ※2 CDP(Career Development Program) 個々の社員のキャリア形成を、中長期的な視点で支援していくための仕組み

著者プロフィール

下里 祐司

サービス事業本部 HRS第2部 部長

人事給与、社会保険、ITと複数の視点で業務改善からシステム導入、運用構築までをワンストップでサポートします。
IT技術をバックボーンに人事部経験や社会保険労務士の知識を活かした人事給与業務の業務改善、効率化、システム化を得意としています。



※ 所属部署・役職は2021年3月以前のものです

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