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COLUMN

金融・保険コラム

プロジェクト

プロジェクトを成功に導くAPS

上野 孝

2016.11.15

前回は「システム開発のプロジェクト成功の要因は要件定義にあり、その要件定義の品質を握っているのはAPSである」という内容でした。
では、「プロジェクトを成功に導くことができるAPS」にはどのような業務知識が必要なのでしょうか?
今回は、私が考える「プロジェクトを成功に導くことができるAPS」について述べてみたいと思います。

まず、APSの定義とは何でしょう?
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)では以下のように定義しています。

『業種固有業務や汎用業務において、アプリケーション開発やパッケージ導入に関する専門技術を活用し、業務上の課題解決に係わるアプリケーションの設計、開発、構築、導入、テスト及び保守を実施する。構築したアプリケーションの品質(機能性、回復性、利便性等)に責任を持つ。』

また、APSの専門分野は以下の2種類に分けられます。
□業務システム
□業務パッケージ

上記の「定義」、「分野」をご覧いただくと分かると思いますが、"業種固有業務"、"汎用業務"、"業務上"、"業務システム"、"業務パッケージ"と『業務』という単語が数多く登場します。これは、APSにとって『業務』は重要なファクターであり、必要不可欠なものであるからだと思います。

私は長年にわたり生命保険会社のシステム構築に携わり、基本構想~本番運用までのすべての工程を経験しました。その経験が評価された結果、当社内の認定制度ではありますが、「生命保険」という業務分野でプロフェッショナルとして認定されました。ここでひとつ強調したいのは、生命保険会社のシステム構築の過程においてAPSとして保険業務知識を身につけるために、商品・事務フロー・業務アプリケーション・データベース、といった4つの要素をきちんと把握し、その関係性、繋がりをしっかりと理解するように心がけてきた点です。この4つの要素こそがAPSに必要な業務知識だと思います。
私は保険業にてこれらを習得しましたが、他業種においても備えるべき要素は同じだと思います。

冒頭で記述したように、システム開発を成功裡に終わらせるための要件定義を作成するには、業務知識が必須だと私は思います。百歩譲って、要件定義はお客様側の作業だとしても、業務知識無くしてお客様の作成した要件定義書の品質の良し悪しを判断できるでしょうか?

「プロジェクトを成功に導くことができるAPS」とは、業務知識を備えた人である、と私は思います。

著者プロフィール

上野 孝

金融事業本部 金融ソリューション第2部 グループ長

保険のシステム開発に関わって約20年、これまで延べ12社の開発、保守、社員支援を行ってまいりました。また、アプリケーションスペシャリストとして、システム開発だけでなく専門的な業界知識も蓄積してきました。現在も、その中で得てきたノウハウを活かし、お客様のIT部門を中心に支援推進中です。



※ 所属部署・役職は2021年3月以前のものです

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