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労働時間の適正な把握と、その実際の運用のために必要なこと

羽田 和光

2017.02.28

厚生労働省のホームページ(※)に、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)が掲載されました。

同ガイドラインでは「労働基準法においては、労働時間、休日、深夜残業について規定をを設けていることから、使用者は、労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責務を有している」としています。しかし実態は、勤務時間の自己申告のみで使用者のチェックなしといった不適正な運用や、法令違反となる過重な長時間労働、割増賃金未払いといった問題が発生しています。また、このガイドラインが出た背景には、昨今の報道事例のように使用者が労働時間を適切に管理していない状況が次々と明らかになり、社会問題化したことがあげられると思います。

労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことを言いますが、そもそも、使用者と従業員の双方が、その定義を正しく認識しているでしょうか。
ガイドラインには次のように記されています。
「なお、労働時間に該当するか否かは、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんによらず、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであること。」
つまり、労働契約、就業規則、労働協約などに定められている以外の時間でも、使用者が指示している場合には、労働時間とみなされることになるのです。

それでは、労働時間の適正な把握とはどのようなものでしょうか。

ガイドラインでは、適正な把握のために使用者が講ずべき措置として、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻の確認および記録することをあげています。
また、この確認および記録の原則的な方法として次の2つをあげています。
 1、使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。
 2、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること。

残業時間については、月末になってはじめて協定を超えていたことを把握することが多々あるかと思います。しかし、最近ニュースにもなっているような長時間労働による過労死などを起こさないように、労働時間の把握とともに残業時間も常に把握できるような環境が必要です。
ただし、残業時間の把握を紙で行うのは非常に煩雑です。もし紙で行うのであれば、毎日一人ひとりの残業時間を集計していかなければなりませんので、やはりシステム化されていた方が便利です。
例えば就業(勤怠)システムで、従業員が、出勤時間と退勤時間を毎日きちんとシステム登録していれば、使用者は各従業員の労働時間と残業時間をいつでも把握できます。
さらに、月間に可能な残業時間を100として、その30%、60%、90%になった時にアラームが出るような仕組みを設ければ、従業員本人も使用者も残業時間を管理することができるようになります。

今回のコラムでは、ガイドラインをベースとした、あくまで表面的な部分について触れさせていただきました。過度な労働が身体面、メンタル面での不調を訴える原因になってしまうことがありますので、使用者は、日々正確に労働時間を把握して、従業員が勤務しやすい環境を整えることを心がけることが必須です。

 

 

著者プロフィール

羽田 和光

サービス事業本部 サービス事業企画部 チーフコンサルタント

人事部経験者の立場から、お客様のお悩みの解決に向けて、お役に立てればと思います。
人事部在籍時には、採用、制度変更、分社化、評価システム構築、新人事システムの選定から導入運用までを経験しています。



※ 所属部署・役職は2021年3月以前のものです

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