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COLUMN

人事コラム

社会保険の基礎

企業で使う「社会保険」という言葉について

下里 祐司

2017.08.25

前回までのコラムでは、業務改善のポイントや統合的な人材管理をテーマに、施策や業務にシステムをどの様に活用していくかをご紹介してきました。
今回からは社会保険労務士の原点に立ち戻って「社会保険の基礎」をテーマに、言葉の定義やその変遷、私が経験したイレギュラーな事例などを発信していきます。

 

狭義の「社会保険」・広義の「社会保険」

これまでさまざまな企業の人事部の方々と仕事をしてきました。
そのなかで「社会保険」に関連する業務の運用方法などをヒアリングしていく過程でその言葉が指している範囲が人によって、またケースによって異なることに気が付きました。
私は、健康保険に代表される「医療保険」、厚生年金や国民年金などの「年金保険」、40歳以上の加入が義務付けられている「介護保険」の3つを「社会保険」として捉えることが多いです。(狭義の「社会保険」)
しかし企業の人事部の方々と「社会保険」について話をすると、前述の3保険に「雇用保険」「労災保険」の2つを加えた5つを指すことが多かったです。(広義の「社会保険」)
ちなみに、私は多くの場合「雇用保険」「労災保険」の2つを「労働保険」として捉えています。

 

「社会保険」とは?

「社会保険」とは、保険料を財源として給付を行う仕組みであり、国や公的な団体が保険者として運営を行う、強制加入の保険制度のことです。
日本の社会保障制度は、相互扶助と社会連帯の考え方をベースとしており、その一つの柱が社会保険制度となります。
この考え方に基づくと「社会保険」には「雇用保険」「労災保険」も含めることになります。(広義の「社会保険」)

 

「労働保険」と「社会保険」

では何故、「雇用保険」「労災保険」を「労働保険」と呼ぶのでしょうか。
簡単に言うと保険料の納付方法や保険料の決定方法が異なるためです。
また管轄する省庁も「労働保険」は労働省、「社会保険」は厚生省と、2000年までは異なっていました。(注:2001年1月の中央省庁の再編で厚生労働省が誕生し、現在は全て厚生労働省の管轄となっています。)
このような違いから、「労働保険」と「社会保険」では給与計算やそれに伴う事務手続きも異なるため、私は職業柄、各々を別の保険制度と捉えることが多いです。

 

私が人事給与業務の担当になったばかりの頃「社会保険」の内容を理解しようとした際に、示す範囲が人やケースによって異なり、何度も混乱してしまいました。また、この様な経験が、社会保険労務士の勉強を始めるきっかけとなりました。
今回のテーマが人事給与の担当になりたての方や人事給与のシステム開発を始めた方のお役に立つことができれば幸いです。
次回は社会保険の変遷等から医療保険や年金保険についてご紹介する予定です。

今後も不定期にコラムを掲載させていただきます。
ご興味を持っていただけた方は、次回もご覧いただければと思います。

著者プロフィール

下里 祐司

サービス事業本部 HRS第2部 部長

人事給与、社会保険、ITと複数の視点で業務改善からシステム導入、運用構築までをワンストップでサポートします。
IT技術をバックボーンに人事部経験や社会保険労務士の知識を活かした人事給与業務の業務改善、効率化、システム化を得意としています。



※ 所属部署・役職は2021年3月以前のものです

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