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ITアーキテクトコラム

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ERPシステムをクラウドへ ~2つの視点からの検討~

2018/08/06

遠藤 剛史遠藤 剛史

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  • クラウド

前回のコラムでは、ERPシステムの変化の一つとして、「ERPシステムをクラウド環境で
導入しようという流れがある」とご紹介しました。今回のコラムでは、実際にクラウドに
ERPシステムを構築する前に検討すべき内容、クラウドに移設するために考慮すべき点
などについてもう少し詳しく述べたいと思います。
私の経験上、ERPシステムを構築する場合には、まず業務視点で検討し、次にテクニカル
な視点で検討を進めていくことが業務を最大限に効率化できるシステムを構築する手順だ
と言えます。

まずは業務視点で検討を

近年では、新規でERPシステムを導入する企業はそれほど多くなく、既存で利用している
システムをアップグレード(※1)、またはマイグレーション(※2)し刷新していくケースが
増えています。
ERPシステムの刷新には相応のコストがかかりますので、どうしてもそこに目が行ってし
まいがちです。しかし、ERPシステムを一つの資産と考えた場合、5年、10年と使い続け
る企業にとって重要な役割を担うものですので、まずは業務視点で考えていく必要があり
ます。今まで開発・カスタマイズを行い、改善を重ね、自社にフィットさせてきたシステ
ムを刷新する際は、現行システムと新システムのFit&Gapを整理し、経営者的視点を含め、
早い段階から次期システムの未来像を描き、業務の視点から検討を始める必要があります。

そして、テクニカルな視点で検討へ

業務視点から検討した結果を踏まえて、続けてテクニカルな視点からどのようなシステム
を構築していくのか、検討していくことになります。
ところで、私は必ずしもクラウドにERPシステムを構築することがベストな選択だとは考
えておりません。
企業で働くユーザの業務形態や環境、主な利用用途によっては、クラウドよりオンプレミ
スを利用した方が良いケースは少なくないと考えています。

オンプレミス、クラウド、SaaS、それぞれのプラットフォームで、ERPシステムを構築す
る際の「メリット」「デメリット」が存在しています。

オンプレミスの場合では、自社が保有するデータセンターに設計・開発・テストという工
程を経て一つのシステムを構築することで、今後のシステムの利用を見据えた企業の用途
に沿ったオーダーメイドのシステムを構築することができます。
一方で、オンプレミスで構築する場合には、ハードウェアやネットワークなどの準備、将
来を見据えたリソースの確保など、当初から準備する項目が多く、初期投資費用が大きく
かかり、機器やERPパッケージのサポート期限などを考慮した長期的なシステムの運用計
画が必要になります。

クラウドの場合は、スモールスタートをベースに、ミニマムなリソースから始めてシステ
ムを育てていくことが可能であり、導入スピードも速く、短期間でERPシステムの導入・
移行を行うことができます。
一方で、システム環境をクラウドにすることで、従来のERPシステムで求めていたセキュ
リティや運用レベルをクラウドベンダーに依存することになり企業のニーズを満たせなく
なる可能性があります。また、クラウドサービスの予期せぬトラブルにより、業務停止が
発生する懸念もあります。

SaaSを利用する場合は、必要な機能が最初から揃っているため、早いスタートダッシュを
かけることができます。
しかし、クラウドサービスの制約によりセキュリティや運用項目を自社にあったレベルに
定義することは難しく、また、シェアードサービスであることからベンダー依存となる部
分が多いため、業務要件を満たすことができない場合も多いです。

このような構築形態の違いによる「メリット」「デメリット」がある中で、企業にフィッ
トしたシステムを構築するためには、非機能の見直しが必要になると、私は考えています。
ERPシステムは企業の中心を担う基幹システムであることが多いため、高いセキュリティ
レベルや運用管理が求められる風潮にありました。システムの停止による業務影響が大き
いため、より高い可用性で考えられたシステム構成が重要視される場合や、会計や人事デ
ータを扱うことから、より高いセキュリティレベルが求められるケースも多々ありました。
しかし、ERPシステムの長期的な稼働やシステムの普及を経て企業やベンダーでもノウハ
ウやスキルが蓄積されてきたことで、必ずしも高いセキュリティや運用設計が必要ではな
という考え方が広がりつつあるように私は感じています。私が関わったお客様でも、そ
ういった考えの元に、自社にあったレベルへの見直しを実施し、システムの「スリム化」
を実現されています。私は、この「スリム化」をじっくりと検討し、定義していくことが、
ERPシステムをクラウド化する際の重要なカギになると考えています。

まとめ

今回お話しさせて頂いた内容は、システムを構築するうえで当たり前の内容かもしれませ
ん。しかし、それぞれの視点で検討していく項目は多く、企業規模や業務内容を見据えた
最適なアーキテクチャを決定していくのは、険しい道のりになります。
しかしながら、ITアーキテクトの役目としては「業務的な視点」、「テクニカルな視点」
の2つの方向から、次期システムの未来像をイメージし、企業の経営者や担当者と一緒に
検討を重ね、最適なアーキテクチャを選択していくことだと、私は考えます。

  • ※1 同一のERPパッケージの最新化を行うこと。
  • ※2 ERPパッケージのバージョンは維持しつつ、システムが利用するOSやデータベースのプラットフォームのみ更新を行うこと。

著者プロフィール

遠藤 剛史

遠藤 剛史

法人事業本部 ビジネスソリューション第2部
エンタープライズアプリケーション第3グループ リーダー

ERPパッケージをメインにインフラ領域を担当し、基幹系システムの導入や運用業務の効率化などを行ってきました。2015年より、インフラを強みとするITアーキテクトとして今までに培った知識やノウハウを活かし、お客様が抱える課題解決や新規ソリューションの提案などを行っています。

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