MENU

 

COLUMN

BizTechコラム

セキュリティ

安全・安心なスマート社会を目指して ~IoT デバイスセキュリティとデータ利活用~

白石 敬典

2021.05.10

現在私は当社のセキュリティ部門に在籍し、取引先企業様のプラットフォームの脆弱性診断業務に従事する傍ら、2020年4月から情報セキュリティ大学院大学で社会人学生として研究活動を継続しています。
今回は自分が目指しているものと研究テーマ(技術)について、簡単に触れたいと思います。

豊かな生活を実現する上では、活用されるデータ、いわゆるビッグデータの利活用は必須です。そしてこれらのデータ利活用に際しては当然プライバシーに関する情報、機微な情報の取り扱いについて考慮する必要があります。私は将来的には、自分の研究結果を応用して「安全・安心が担保されたデータを利活用するスマート社会の仕組み」を作りたいと考えています。そこで研究対象を、ICT 技術と IoT によってセンシングされたデータの集合体であるスマートシティ*1 に設定しました。

実現に向けた技術は二つ

先行研究のサーベイをする中で、IoT や IoT が生成するデータの真正性、責任追跡性を担保することが、来る IoT 増加の将来(=スマートシティの将来)にとって重要になると考えました。そこで、これらを実現することを目指して二つの技術要素を組み合わせて研究することにしました。一つ目はフォグコンピューティング (Fog Computing)、二つ目はフェデレーテッドラーニング (Federated Learning) です。

フォグコンピューティング (Fog Computing) とは
フォグコンピューティングは、クラウド環境と IoT の間の中間層として存在する概念です。IoT の近くでデータ処理を行い、クラウド環境の負荷分散処理をします。実例を挙げると、コネクテッドカーなどの遅延が許されない分野で提案されています。またクラウド環境へ直接プライバシーにかかるデータを送らないようにすることもできるため、ヘルスケアやスマートシティ等の分野でも提案がされています。

フェデレーテッドラーニング (Federated Learning) とは
グーグルによって提唱された機械学習の手法の一つで、連合学習とも言われています。スマートフォンのように数多く存在するクライアントが個々のデータを共有することなく、モデルを学習することが可能になります。従来の機械学習の学習手法とは異なり、モデルパラメータのみ集めてモデルの精度を高めることができるため、機微なデータを送信する必要はなく、特にプライバシーへの配慮が必要な環境での活用が期待されています。身近なところではグーグルが開発したGboardで利用されています。

一年目の成果

2021年2月末に実施された 2020年度 ISSスクエア*2 シンポジウム で、一年間の研究成果を発表しました。修士一年生からは院生9名が発表を行い、さまざまな研究の中から提案内容の新規性などが評価され、研究奨励賞を受賞することができました。当日のポスター発表で使用した資料は一般にも公開されています。発表タイトルは "IoT デバイスセキュリティに向けた フォグコンピューティングと連合学習に関する研究" です。

2020年度 ISSスクエア シンポジウム - ポスター発表リスト
 http://iss.iisec.ac.jp/sympo20/poster_list.html

私の発表内容
 http://iss.iisec.ac.jp/sympo20/posters/M1_109poster20.pdf

以上、今回は大学院大学での研究テーマとその技術について簡単に紹介いたしました。
気になるキーワードがあれば、上記リンク先のサイトや資料にも目を通していただけると幸いです。

 

*1スマートシティ ... 国土交通省では、「都市の抱える諸課題に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区」と定義し、さまざまな取り組みを進めている。https://www.mlit.go.jp/toshi/tosiko/toshi_tosiko_tk_000040.html

*2 ISSスクエア ... 正式名称は「研究と実務融合による高度情報セキュリティ人材育成プログラム」。大学間や産学の壁を超えて潜在力を結集し、情報セキュリティ分野における世界最高水準の人材を育成するためのプログラムで、情報セキュリティ大学院大学を中心に、中央大学、東京大学、国立情報学研究所他、企業・研究機関 11社によって実施される。

著者プロフィール

白石 敬典

セキュリティソリューションセンター/技術開発部

技術者として、大規模オンラインシステムの運用、ミッションクリティカルシステムやCRMプラットフォームのテクニカルサポート、広域イーサネットバックボーンの構築・保守等の業務を担当してきました。
現在、セキュリティ部門および技術開発部門に所属する傍ら、情報セキュリティ大学院大学にも在籍し、IoTを軸とした新たなセキュリティサービスの開発に取り組むべく、研究活動に勤しんでいます。

この記事をシェアする