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COLUMN

BizTechコラム

ITアーキテクト育成

『キャリアを作り込もう!~ITエンジニア編~』

森 隆彦

2018.04.03

2018年度がスタートしました。
社会人としての長いキャリアを踏み出したばかりの新入社員、昇格してはじめて部下を持つことになった新米リーダー、様々な人が期待に胸を膨らませて、新しいことに挑戦しようとされていると思います。そこで今回は、エンジニアとしてのキャリアをどの様に作り込んで行ったら良いか、私自身の経験を振り返りながら、お話しいたします。

 

好きなことを見つけよう!

仕事はお金を稼ぐための手段ですが、人生の大半を過ごす場でもあります。その多くの時間は、楽しいと感じるものでなければ勿体ないです。もちろん、趣味ではありませんので、すべてが楽しい仕事は稀ですが、できるだけ興味を持って取り組むことのできるものを探しましょう。好きこそ物の上手なれ、好きなものはもっと知りたくなり、関連する情報までいつの間にか興味を持ち、さらに深く知ることで新しい発想が生まれてワクワクする、といった好循環をもたらします。

私の場合、仕事の中での好きなこととして、次の二つが挙げられます。

・プログラムが動くまでコーディングすること

作りたいソフトウェアの動きを考えながらコードを書き、それが悪戦苦闘の末に、何とか動作するプログラムを仕上げるまでの過程が、一つ目の好きなことです。これは私が小学六年生の時、お年玉で購入したパソコンでゲームを作ろうとしたことが原点になっています。もちろん、小学生が簡単にゲームを作成することなどできる訳もなかったのですが、スプライト機能を使ってアニメーションのセル画をずらすようにキャラクターを動かすことができたときの興奮は今でも鮮明に覚えています。そしてゲームのキャラクターに複雑な動きを持たせるために、二次関数や三角関数を必死で勉強したものです。

・驚きのリアクション

「もう出来たんですか!」
「一体、どうやって作ったんですか?!」
「処理速度が信じられないくらい速くなりました!」
お客様や同僚から、この様な反応を引き出すことが、二つ目の好きなことです。
私の得意な技術や地道な作業の成果が人を驚かせることができる、次はどうやってビックリさせようか、そのことを考えると気分がとても高揚します。
IT業界で何年か仕事をするようになって、このような体験を繰り返しているうちに少しずつやり甲斐として感じるようになりました。

 

キャリア戦略を考えよう

好きなことが見つかったら、それを活かせるキャリアを考えてみましょう。できれば身近に目標となる人を一人もしくは何人か設定できると良いですが、セミナーの講師や専門誌に記事を投稿している著名人を目標にしても構わないでしょう。
次に、目標に到達するために自分に不足しているものをリストアップして、優先順位を決め、何をいつ頃までに習得するか、計画を立ててみましょう。その時、少し無理をすれば到達できる難易度の計画を考えてください。そして成功イメージを思い描き、実現できると信じて進めることが重要です。少し難しい課題に挑戦することは成長の促進剤となるでしょう。
また、目標は定期的に見直すようにしましょう。経験が増え、成長して行くにつれて、さらに自分に不足しているものが見つかったり、より良い目標を設定したりすることができるからです。

私の場合、社会人になって間もなく目標にしたのは、同期とOJTの先輩、そして技術系の雑誌に記事を投稿している著名人でした。当時、プログラミングにはそれなりの自信があってIT業界に入ったのですが、彼らの技術力は私が全く理解できないほど高く、まるで宇宙人と接しているようでした。この宇宙人と同じレベルまで到達するために、その当時はひたすら技術書を読み漁り、プログラムを書き、宇宙人達の発するキーワードからまた新たな技術書に手を付ける、ということを繰り返していました。無我夢中で技術書を読み進めて行くうちに、宇宙人の会話が少しずつ理解できるようになってきたのですが、すると、基礎知識が歯抜けになってしまっていることに気付きました。その穴を埋めるために、OSとデータベース、アプリケーションについて、ベンダー試験や情報処理試験を受験しながら、約3年間掛けて習得して行きました。

この宇宙人に近づくという目標は今でも持ち続けていますが、入社して3年目にアサインされたプロジェクトで、これまでと異なるタイプの目標となる先輩と出会いました。彼からは、プロジェクトリーダーとしてのお客様との接し方を学びました。
お客様に何を提示すれば喜ばれるのか、どの様に円滑なコミュニケーションを取るのか、コストやスケジュールをいかに交渉するべきなのか、プロジェクトでの彼の振る舞いを手本として、今でもお客様と接するようにしています。

 

アサインされた仕事を有効活用しよう

自身が起業した会社でない限り、アサインされる仕事全てが自分の目標を達成するためにお膳立てされている訳ではありません。そこで大切なのが、アサインされた仕事を目標達成のためにいかに利用できるかを考えることです。よく、「自分の仕事は将来に役立たないもので、会社は何もしてくれない」とぼやく声を耳にします。しかし、それは本人の姿勢次第であることは言うまでもありません。

私の場合、IT技術の基礎知識向上のために、担当プロジェクトで必要となる技術要素の中から、OSやデータベース、アプリケーション開発に必要となるベンダー試験を選んで、計画的に学習を行い、会社のリソースを有効活用することで、最低限の自己投資で目標としていたベンダー資格や情報処理試験に合格することができました。また、プロジェクトを通して、目標としていたプロジェクトリーダーとしてのあるべき姿を、実践の中で試行錯誤しながら追うことで、少しずつ自らのスキルとして身につけて行くことができました。

 

時には気分転換を

キャリアアップのことばかり書いてしまいましたが、そればかりに注力していると燃え尽きてしまいますので、時には気分転換が必要不可欠です。この気分転換は、次へのエネルギーを補充するだけではなく、新しい有用な視点をもたらしてくれることもあります。

私の場合、どうしてもIT以外のことがやりたくなって英会話を学んで海外旅行へ行ったことと、結婚して二児の父親になったことが大きなリフレッシュになりました。この二つのイベントは、前者は海外からの情報に対する苦手意識の克服に、後者はマネジメントに大いに役立っています。

今回は年度の始まりということで、キャリア開発についてお話しをさせていただきました。
読者の皆さまの今後のキャリアプランのヒントに少しでもなれば幸いです。

著者プロフィール

森 隆彦

技術開発部 統括部長

お客さまのビジネスに貢献するITサービスの提供を、ITアーキテクトとして戦略的情報化企画から開発、運用まで、幅広くアシストします。エネルギー系企業や金融系企業などのシステム構築経験をバックボーンに、高可用性が求められるシステム開発における非機能要件定義やデータモデリング、パフォーマンスチューニングを得意としています。また、社内外のITアーキテクトコミュニティの運営にも携わり、ITアーキテクト職の啓発および後進の育成を推進しています。



※ 所属部署・役職は2021年3月以前のものです

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