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COLUMN

BizTechコラム

ハッカソン

さくらハッカソン2019開催(インターン学生向け)(前編)

大谷 隼

2019.12.24

ハッカソン開催

2019年夏、当社の学生向けインターンにて5日間のハッカソンを開催しました。
「ハッカソン」とは、プログラマーやデザイナーなどWebデザインやシステム開発に携わる複数人でチームを作り、1日から1週間の短期間でプログラミングのアイデアや制作物の成果を競い合うイベントの呼称で、「ハック(hack、プログラミングに取り組む)」と「マラソン」を組み合わせたIT業界で生まれた造語です。
また、「ハッカソン」は複数の参加チームが切磋琢磨することで新商品やサービスの誕生につながる大きな可能性を秘めたオープンイノベーション手法の1つとして知られ、日本国内でも多くの企業が開催しています。
当社が学生向けにハッカソンを開催した理由は、ソフトウェア開発経験のない学生に実際のものづくりを通して広くIT業界を知ってもらいたいと思ったからです。そして、これから始まる就職活動でIT業界を就職先の一つとして考える学生を増やしたいと考え企画しました。

ハッカソンのテーマとプロセス

今回のハッカソンのテーマは、「身近な課題をVUI※1で解決するアイデアを提案し、プロダクトを試作して利用者に価値を提供する」ことです。ハッカソンを通して学生たちに「ビジネスモデル設計」、「ソフトウェア制作」、「PoC(コンセプト検証)」を体験してもらえるよう企画しました。
参加した学生は11名で、2チームに分かれて社員がファシリテートしながら進めました。
ハッカソンでのサービス開発プロセスは、「1.価値設計」、「2.PoC」、「3.成果発表」の3工程とし、以下のスケジュールで実施しました。


            ハッカソンスケジュール

1.価値設計

価値設計の工程では課題設定を行い、その課題を解決するプロダクトビジョンを描きます。そこから提供価値の創造とそれを実現するビジネスモデルの設計を行います。

(1)課題設定
ビジネスアイデアの元となる課題の選定を次の手順で行います。
 ・洗い出し:身近な課題についてブレインストーミングを用いて洗い出し、大量の付箋に書き出す
 ・絞り込み:書き出した付箋の中から、良いアイデアだと思うものや共感できる課題に対してチーム内で投票して数を絞る
 ・深堀:絞り込んだ課題に対して、より具体的なイメージがつくように5W1Hを明らかにして深堀をする
 ・選定:深堀した課題に対して、VUIにより顧客に価値を提供できるかをイメージし、再度チーム内で投票して選定する

 
               各チームの価値設定の様子

(2)プロダクトビジョン(エレベータピッチ)
曖昧な課題解決の価値提供イメージをより具体的にするためにプロダクトビジョンを作成します。
プロダクトビジョンは、プロダクトによる価値提供のコンセプトを短時間でシンプルに伝えるためにエレベータピッチのテンプレートに合わせて作成します。

<エレベータピッチの例(テンプレート)>
 【抱えている課題を解決】したい
 【誰】向けの
 【サービス名】というプロダクトは、
 【一言で表すと〇〇なサービス】です。
 これは【重要な利点、対価に見合う説得力のある理由】ができ、
 【ほかの多くの商品】とは違って、
 【差別化の決定的な特徴】が備わっている。

(3)提供価値の創造(バリュープロポジションキャンバス)
プロダクトのコンセプトが顧客のニーズとずれないように提供価値を創造します。
提供価値の創造は、バリュープロポジションキャンバス※2を作成してターゲットとなる顧客の「嫌で取り除きたいこと」や「あったら嬉しいこと」というニーズ対して、プロダクトの「嫌なことを軽減すること」、「嬉しいことを増加すること」という価値が提供できることと紐づけます。

(4)ビジネスモデル設計(ビジネスモデルキャンバス)
バリュープロポジションキャンバスで明らかにした顧客ニーズとプロダクトの価値提供を元にビジネスモデルを設計します。
ビジネスモデル設計は、ビジネスモデルキャンバスを作成して課題解決のビジネスに必要なモノや仕組み、収益の流れを整理します。

2.PoC

PoC(Proof Of Concept)の工程ではプロダクトを試作し、コンセプトを検証します。
まずコンセプトを検証するためのゴールを設定し、プロトタイプ開発を行います。

(1)コンセプト検証のゴール設定
プロダクトのコンセプト検証で重要なゴールを設定します。
その重要なゴールに対して課題解決をするためのユーザーシナリオと必要な機能を洗い出します。

(2)プロトタイプ開発プロセス
プロトタイプ開発は、設計、製造、テスト、振り返りを1フェーズとして、全6回(2~3時間/回)のイテレーション※3による開発を行います。
イテレーションを実施する際は、以下のポイントを押さえます。
 ・優先付けをして、重要な機能から開発を進める
 ・振り返りでは、実装した機能がコンセプトを満たしているか評価/検証してカイゼンを継続する
 ・実装が難しい場合は、モックアップで代替してコンセプトの検証を優先する

振り返りのフレームワークは、「YWT」を使用してY(やったこと)、W(わかったこと)、T(次にやること)を書き出します。

 
            作成した台本とYWTによる振り返りの様子

いかがでしたか。
次回は、学生たちがどのようなプロダクトを開発したのか、「3.成果発表」のプロセスから紹介したいと思います。

    • ※1 Voice User Interface(ボイスユーザーインターフェース)」の略。声によるインターフェース、
      つまりは声によってあらゆる情報のやり取りを行うことを指す。
    • ※2 自社の製品やサービスと顧客のニーズとのずれを解消するためのフレームワーク。
    • ※3 システム開発(特にアジャイル開発)において、一連の工程を短期間に何度も繰り返すことで、次第に完成度を高めていくサイクルのこと。

著者プロフィール

大谷 隼

技術開発部

当社クラウドサービス案件に参画し、アプリケーション開発(Java)や、BRMSを用いたビジネスルールの管理/可視化を中心にした開発などに従事してきました。現在は、オープンイノベーションの先導役となるべく組成された技術開発部に所属しています。新サービス提供を目指して、AWSに関する技術を積極的に習得するクラウドエンジニアです。

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