技術開発部
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ITアーキテクト育成
「ITアーキテクト体験ひろば」活動紹介 その7
松澤 文明
2017.04.04
前回のコラムでは、要件定義後の基本設計フェーズで行う、インフラ/アプリケーションアーキテクチャの設計や評価についてご紹介しました。
今回は、開発フェーズ以降(開発~テスト~移行や運用)でITアーキテクトが携わるべき事項について学習した内容をお伝えします。
■ 第18回 開発(開発におけるITアーキテクトの責務、開発計画策定)
開発フェーズではITアーキテクトは、開発環境をはじめとした開発に関する基本方針を策定し、ITスペシャリストやアプリケーションスペシャリストに対してその方針を指示することで、効率的な開発の進行を支援しなければなりません。
第18回では、開発前に実施する開発計画を体験するために、次の内容を用意しました。
・開発におけるITアーキテクトの責務
開発作業全体を通してITアーキテクトの役割や内容、押さえるべきポイントなどを学びました。
・開発計画策定
開発方式・使用するツールの選定・単体テストの仕組み・各種規約の策定など、開発するにあたり必要なものを定義・決定するための開発計画を作成しました。
■ 第19回 テスト(ケースメソッド概要、ケースメソッド(テスト))
システムの最も重要な要素である品質を守るためには、網羅的に多くの種類のテストを行う必要があります。しかし、ほとんどの場合、テストを行うコスト・リソースは限られており、その制約の範囲内でシステムの特性・機能要件・非機能要件を考慮し、効果的かつ十分なテストを行う必要があります。
第19回では、ITアーキテクトとしてテストフェーズの知識と実践力を高めるために、次の内容を用意しました。
・テスト概説
テストの流れやテストの種類、各種技法およびテストのポイントなどを学びました。
・ケースメソッド
ケースメソッドとは、通常、経営管理上の問題について討議し、問題解決能力などの向上を図る事例研究法のことです。ただし、ここではシステム開発のテストフェーズで検討すべき事項の解決に活用すべく、その手法について学びました。その上で、実プロジェクトにおけるテストフェーズのケースを題材にワークショップを実施しました。
参考:ケースメソッドのプロセス
1.状況を把握する。
2.課題を洗い出し、絞り込む。
3.解決策を洗い出す。
4.解決策を評価する。
5.アクションプランを作成する。
■ 第20回 移行/運用(ケースメソッド(移行)、ケースメソッド(運用))
どんなシステムでも大小の差はありますが、移行や運用を考慮する必要のないシステムはありません。ITアーキテクトは、業務への影響を抑え、スムーズに新システムへ移行した後にも、お客様の要件を満たすサービスレベルを維持できる仕組みを提供する必要があります。
第20回では、ITアーキテクトとして移行・運用フェーズの知識と実践力を高めるために、次の内容を用意しました。
・移行概説
移行の流れや移行計画、開発工程との相関関係などを学びました。
・運用概説
運用の流れや運用に関する規格(ITILやISO/IEC20000)などを学びました。
・ケースメソッド
講師陣が実プロジェクトで体験した移行と運用のケースを題材に、ワークショップを実施しました。
■ 第21回 KPTで活動を振り返る(KPT、打ち上げ)
ITアーキテクト体験ひろばのラストとなる第21回では、KPT(Keep-Problem-Try)のフレームワークを利用して、1年間の活動の振り返りを行いました。
・KPT
KPTのフレームワークを利用して、講師・参加者全員参加で1年間の活動の振り返りを行いました。新人や経験者、運営者などの複数の異なる視点からの反省点や、今後取り組みたいことについて多様な意見を出し合い、各個人や当コミュニティにとって『次に』繋がる振り返りを行いました。
ITアーキテクト体験ひろばのご紹介として、1年間を通して実施した体験型学習の模様を全21回にわたりお届けしてきましたが、いかがでしたでしょうか?
次回からはITアーキテクト体験ひろばの講師や参加者がさまざまな場所で学んだことや体験したことを皆様にお届けしたいと思います。
- ※ ITILは、AXELOS社の登録商標です
著者プロフィール
松澤 文明
ITアーキテクトとして、ソリューションを企画し、社内のみならず社外のお客様へ提供しています。金融系企業などの基幹システム構築やパッケージ製品及び当社独自のフレームワーク作成(PHP)、モバイル開発の標準化、金融系企業などの基幹システム構築経験をベーススキルに、モバイルシステムや企業全体を守るためのセキュリティなどの企画全般が得意です。また、社内外のITアーキテクト系のコミュニティへの参加や運営にも携わっています。