サービス事業本部 HRS第2部 部長
COLUMN
コラム
人事コラム
人材管理
人材ポートフォリオについて(2)

下里 祐司
2015.06.25
前回から、「統合的な人材管理」をテーマに人材ポートフォリオについて触れ、その意義や概要をご紹介しました。
今回は将来の目指す「人材ポートフォリオ」に対して、どの様にアプローチしていくのかをご紹介させていただきます。
「人材ポートフォリオ」は企業の目標達成に向け、どの様な「スキル」「資格層」「役職」「年齢層」の人材をどのセクションに、どの程度の人数を配置するのか、「人」資産の組み合わせを描いたものであると、ご紹介しました。
前回の繰り返しになりますが、これは将来のあり姿であり、この人材ポートフォリオを現実のものとする為に、企業の人事戦略では、人を採用し、育成し、配置し、報酬等で処遇することが求められます。
では、何から着手すれば良いのでしょうか。
人事戦略で「採用」「育成」「配置」「報酬」等を考えるにしても、どこがどれだけ不足しているのか、あり姿に対し、どの様なギャップがあるのかが分からなければ、戦略は立てられません。
その為に、最初に着手すべきは現在企業が保有する「人」資源がどの様になっているか、「人材マップ」を把握することです。
現在自社にはどの様な「スキル」「資格層」「役職」「年齢層」の人がどの様な割合で、どこに存在し、何の仕事に従事しているのか、これらの情報を把握することで、将来の「人材ポートフォリオ」とのギャップを明らかにすることができます。
そうすると具体的な情報把握の手段・方法をどうするのかを明らかにしたいところです。
この手順が必ず正解というものではありませんが、私の経験上、最も有効で近道なアプローチをご提案します。
1.情報収集
人材ポートフォリオに基づき自社の成長に必要なスキルや資格を明確にし、収集します。
収集方法は紙やデータ、聴取等、やり方は問いませんが、画一したルールに則った基準で収集することと、短期間で鮮度の高い状態を保つことが重要な為、システムを活用したデータによる収集をお勧めしています。
2.情報蓄積
収集した情報は時系列での把握も必要となる為、履歴も含め、一つの場所に蓄積され、鮮度の高い状態が維持されていなければ、情報としての価値がありません。
保持する情報量にもよりますが、少なくともAccessやExcel等のデータ管理が行える電子媒体、若しくは何らかの人事情報管理システムに集約して蓄積することが重要です。
また蓄積した情報は常に一定頻度で更新し鮮度を保って下さい。
3.情報抽出
蓄積された情報は、様々な切り口で抽出できるようにしておきます。
必要な抽出条件により、タイムリーに蓄積された情報が参照可能になって初めて、現状の把握と分析が行えるようになります。
抽出を考えた場合には、Accessや何らかの人事情報管理システムによるデータ抽出が
有効な手段となります。
上記のような方法で収集・蓄積した人材情報を、人材ポートフォリオに基づいた切り口で抽出し、分析することが現状把握の為の第1歩になります。
次回は、収集・蓄積した情報の活用方法・事例と、当該情報を活用し更に付加価値を生む管理の仕方について、ご紹介をさせていただきます。
今後も不定期にコラムを掲載させていただきます。
ご興味を持っていただけた方は、次回もご覧いただければと思います。
著者プロフィール

下里 祐司
人事給与、社会保険、ITと複数の視点で業務改善からシステム導入、運用構築までをワンストップでサポートします。
IT技術をバックボーンに人事部経験や社会保険労務士の知識を活かした人事給与業務の業務改善、効率化、システム化を得意としています。
※ 所属部署・役職は2021年3月以前のものです