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COLUMN

金融・保険コラム

システム開発プロジェクト成功の鍵

上野 孝

2016.08.16

皆さんはビジネスマンとしての志はありますか?
私は、「まず、何でもよいから会社の中での第一人者となる。そして、その業界での第一人者を目指す。」という志のもと、長年、生命保険業務のシステム開発に従事してきました。そのような志、こだわりを持った私の目線で、システム開発のプロジェクト成功の鍵は何かについて述べていきたいと思います。

最近、プロジェクトの中断、失敗という話しをよく耳にします。
もう数年前ですが、某IT系の雑誌に、日本のITプロジェクトの平均成功率は約3割という統計結果がでていました。恐らくその数値は現在も変わらない、もしくは縮小しているのではないでしょうか。そして、プロジェクトが失敗に終った際にまず責められるのはプロジェクトマネージャ(以下PM)であり、失敗の振返りもPMが行うケースが多いと思われます。その場合、PMの視点でプロジェクトを振り返りますので、プロジェクト失敗の原因分析がマネジメントに焦点を当てて行われることになります。

「ステークホルダーを間違えて要件が固まらなかった」、「変更管理が不充分で工数が膨らんだ」、「進捗管理が不充分でキャッチアップが遅れた」、「スキルアンマッチの要員をアサインしてしまった」などさまざまな原因が分析され、その対応策を延々と練っていくことになります。結果、プロジェクトのマネジメントノウハウが蓄積されます。しかしそれだけマネジメントのノウハウが蓄積されているにも関わらず、失敗プロジェクトが減らないのは何故でしょう?

失敗プロジェクトにおいて、その失敗の原因の4割が要件定義工程にあるとの統計結果もあります。確かに、設計工程以降の不具合は、結合テスト、システムテストなどのテスト工程で人海戦術を駆使すればリカバリーは可能といえますが、要件定義工程の不具合は手戻りが大きく致命傷となります。そこで無理して本稼動したとしても「使えないシステム」が導入されるだけであり、それも立派な失敗プロジェクトです。よって、要件定義の品質がプロジェクト成功の是非を決めると私は考えます。

このプロジェクトの命運を決める要件定義の品質の責任は誰にあるのでしょうか?PMでしょうか?PMが要件定義の品質を判断できるでしょうか?私は違うと思います。要件定義の品質に責任を持つべきはアプリケーションスペシャリスト(以下APS)だと思います。よって、プロジェクトの成功の鍵を握っているのはAPSといえるでしょう。

次回はAPSの重要性について、私自身の生命保険業務システム開発プロジェクトでの経験も踏まえて述べたいと思います。

著者プロフィール

上野 孝

金融事業本部 金融ソリューション第2部 グループ長

保険のシステム開発に関わって約20年、これまで延べ12社の開発、保守、社員支援を行ってまいりました。また、アプリケーションスペシャリストとして、システム開発だけでなく専門的な業界知識も蓄積してきました。現在も、その中で得てきたノウハウを活かし、お客様のIT部門を中心に支援推進中です。



※ 所属部署・役職は2021年3月以前のものです

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