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COLUMN

BizTechコラム

ITアーキテクト概要

クラウド案件を通じて感じた、ITアーキテクトに求められる役割の変化

森 隆彦

2017.09.12

最近、パブリッククラウド関連の仕事に携わっているITアーキテクトから話を聞く機会がありました。彼はAmazon Web Services(AWS)上へのIoT基盤構築案件や、社内システムのMicrosoft Azureへの移行適用検証を担当してきました。話を聞いていると、これらの案件では従来のいわゆるオンプレミス案件とは勝手の違うことも多く、ITアーキテクトに求められる役割が『変化』してきていると感じました。

そこで、本コラムではクラウド時代のITアーキテクトにどのような役割が求められているかという点について、従来と比較しながらお話ししていきたいと思います。
なお、今回のコラムはインフラの知見を中心に書いておりますが、インフラに限らずアプリケーション開発も含めたITアーキテクトの業務全般に当てはまるお話として捉えていただければと思います。

これまでのITアーキテクト

まず、ITアーキテクトの役割定義からおさらいしておきます。
ITSSの定義を引用しますと、
「ビジネス及びIT上の課題を分析し、情報システム化要件として再構成する。」「ハードウェア、ソフトウェア関連技術を活用し、顧客のビジネス戦略を実現するために情報システム全体の品質を保ったITアーキテクチャを設計する。」
とあります。
ちなみにこの定義が制定された当時(2000年代半ば)のIT業界では、多数のメンバーから成るプロジェクトチームを組成し、長い期間を費やすプロジェクトが主流でした。

こういった大規模プロジェクトにおいて、ITアーキテクトは長期間の開発を乗り切ることのできる最適なアーキテクチャを選定してきました。
その際、重要となるスキルが「説明責任」と呼ばれるものであり、従来のITアーキテクトは自身のITスキルや過去の経験を活用してプロジェクトメンバー等の利害関係者に「なぜ、そのアーキテクチャを選定したのか?」という点について、工夫を凝らして説明していました。工夫とは例えば、プロトタイプやアーキテクチャ説明書を作成し、その内容をメンバーに周知させるといったことです。

これからのITアーキテクト

では、クラウド時代のITアーキテクトはどうでしょうか?冒頭で変化と書きましたが、ITアーキテクトの役割定義自体に変化は無く、それを実現するための行動・振る舞いが変わってきているのだと感じています。

昨今では、従来の大規模プロジェクトに替わり小規模・短納期の案件が増加しています。また、これらの案件の中には、システム要件が明確に定まっておらず開発途中でも要件を追加・修正しながらシステムをより良いものにしていくタイプのものもあります。いわゆるSoE(System Of Engagement)に分類されるシステム開発です。

このような傾向が及ぼす影響を見てみると、短納期の案件では最初からアクセル全開で臨むことが必須であり、アーキテクチャを説明しメンバーに周知させる時間が満足に取れないことも珍しくありません。さらに、要件の頻繁な変更に伴いアーキテクチャも絶えず変化し続けなければならないという課題もあります。

クラウドの活用

こうした変化への対応としてクラウドはまさにうってつけです。必要なときに必要なだけのリソースをすぐに調達できるというクラウドの特性をフル活用することで、ITアーキテクトはその時点での最適なアーキテクチャを迅速に提供し続けることが可能になるからです。

ここまでの文脈上、クラウドのインフラ部分(IaaS/PaaS)を連想された方が多いかもしれませんが、必ずしもそれだけではありません。アプリケーション部分においてもクラウドサービスの提供するAPIを活用することで、自分で1からつくり上げるよりも迅速にアーキテクチャを構築することが可能です。インフラ/アプリケーションを問わず、今どきの案件に耐えうるアーキテクチャづくりのために
はクラウドは必要不可欠といえます。

ITアーキテクトは「先導者」へ

最後に、ITアーキテクトの変化について自分なりの見解を述べたいと思います。従来のITアーキテクトは、アーキテクチャを用いてプロジェクトに関わる利害関係者を同じ方向を向かせるという役割を担っていました。また、設計や構築が順調に進んでいくのを見届けて徐々にフェードアウトしていくことが多くありました。

これに対して、これからのITアーキテクトは「先導者」的な役割を担っていくべきであると感じています。クラウドの活用や最新の技術を取り入れたアーキテクチャを切り口としてシステム開発から本稼働までをリードしていく、そんなイメージが筆者の考えるこれからのITアーキテクト像です。

 

  • ※Amazon Web Services、AWSは、米国その他の諸国における、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の
  •  登録商標又は商標です。
  • ※Microsoft Azureは、米国Microsoft Corporationの米国及びその他の国における登録商標又は商標です。

著者プロフィール

森 隆彦

法人事業本部 デジタルソリューション部 グループ長

お客さまのビジネスに貢献するITサービスの提供を、ITアーキテクトとして戦略的情報化企画から開発、運用まで、幅広くアシストします。エネルギー系企業や金融系企業などのシステム構築経験をバックボーンに、高可用性が求められるシステム開発における非機能要件定義やデータモデリング、パフォーマンスチューニングを得意としています。また、社内外のITアーキテクトコミュニティの運営にも携わり、ITアーキテクト職の啓発および後進の育成を推進しています。



※ 所属部署・役職は2021年3月以前のものです

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