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BizTechコラム

ハッカソン

さくらハッカソン2020開催(インターン学生向け)当日編 ―当日の様子と学生エンジニアへの期待―

森 隆彦

2020.11.24

2020年夏、今年もインターン学生向けに「さくらハッカソン」を開催しました。前回のコラム(準備編)に続き、今回は当日編として、会期中5日間の様子や学生エンジニアの持つ可能性について話を進めていきます。

6名の学生と社員混成チームでスタート

いよいよ開催日当日です。さまざまな大学から3年生6名が参加してくれました。

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オンラインでの活動の様子

5日間の活動

5日間の活動は大きく3つのフェーズに分かれます。
それぞれのフェーズごとに当日の様子を振返りたいと思います。
1.課題設定とビジネスアイデア出し(1日目)
2.具体的なプロダクトデザインとそのプロト開発(2日目~4日目)
3.プロダクト評価と成果発表、全体振返り(5日目)


1.課題設定とビジネスアイデア出し(1日目)

1日目の活動は、対応すべき課題を発見・具体化することから始めました。事前に今回のテーマは「コロナ禍の生活で困っていること」と設定しており、その中から学生生活の中でWEB会議中に発生している問題に対して課題設定を行いました。

【チームα】
「WEB会議中、画面の向こうにいる参加者の理解度がわからないため、本当に伝わっているか不安がある」
【チームβ】
「大学の授業が全てオンラインに変更され、普段なら授業中に少しわからないところがあれば隣の人に声をかけて質問していたが、今はそれができない。」

次は、この課題に対する解決策のアイデア出しとその具体化を行いました。ディスカッションを補助するため、「バリュープロポジションキャンバス」*1で、課題に対する価値あるプロダクトを具体化したり、「エレベータピッチ」*2でプロダクトの価値は何かを明確化するなど、アイデアの具体化と価値について学びました。

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価値とは何かを知る

その結果、チームごとに以下の通り具体的なプロダクトを決定し、IoTを活用してサービスを構築することになりました。

【チームα】
「WEB会議で参加者のリアクションやボディランゲージを発表者へ分かりやすく可視化する WEB会議補助サービス」
【チームβ】
「WEB会議でもお隣さんを作ることができ、オンラインで会話のやりとりができるバーチャル座席表とチャットサービス」

1日目は、多くの時間をメンバーと対話することに費やしました。上述した課題設定やアイデア出しは目に見えた成果でしたが、併せて対話の中でチームビルディングを行ったことが、その後4日間の具体的なプロダクト作成と成果発表までのプロセス完遂に効果を発揮しました。

2.具体的なプロダクトデザインとそのプロト開発(2日目~4日目)

2日目〜4日目は実際にプロトタイプ開発を行う上でのプランニングを行い、プロダクトの制作を行いました。
3日間の開発を進めるプロセスは、アジャイルで用いられるScrumを基本としました。学生は初めての体験でしたが、すぐにそのやり方に対応していました。
オンラインの状況でも、各チームしっかりコミュニケーションをとり進めることができました。その中で特徴的だったのは、メンバー間でペアプログラミンを実践していたことでした。この行動は、こちらから指示したものではありませんでしたが、チームの中で会話し、チームの判断でその行動を選択しました。これはまさにアジャイルの目指す形の1つである自己組織化に向けた片鱗です。

3.プロダクト評価と成果発表、全体振返り(5日目)

いよいよ最終日は成果発表です。
今回の発表会には当社の役員2名がメインコメンテーターとして参加しました。

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発表資料のアジェンダ

各チームが制作したプロダクトをご紹介します。

【チームα】
WEB会議中に参加者のボディーランゲージ(今回はうなずき)をセンサーで感知すると、発表者の手元にあるうなずきマシーンの顔がリアルタイムに動き、参加者が理解しているかを可視化します。

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【チームβ】
ブラウザで表示されるバーチャル座席(※実際の画面制作は今回のプロト開発に含めない)でお隣になった学生の手元装置(物理)に、「ちょっと聞きたいことがあるんだけどいい?」とメッセージとランプで通知する。OKであれば、チャットでコミュニケーションをとります。

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発表会では、緊張感がある中でも発表者とデモ実行者の連携がしっかりとれ、チームの思いを十分に伝えることができました。
以下は、コメンテーターからのフィードバックの抜粋です。

・課題設定や状況の具体化が素晴らしい。テーマの着眼点と解決のコンセプトが明確になっているからこそ、出来上がったプロダクトの価値が評価しやすかった。
・ 当社の新入社員も同じ状況で苦労をしていた。そういう理由もあって、状況の共感ができたことが素晴らしい。
・ このプロダクトは、コロナ禍でなくても今後有用な解決策だと感じた。

多くのフィードバックを得られた理由は、実際のプロトタイプでデモをしたことだと考えています。やはりコンセプトだけでなく、実際に動くもので評価することに価値があるのだと今回の活動を通じて感じました。

学生エンジニアの持つポテンシャル

5日間の様子をお伝えしました。毎日試行錯誤を繰り返し、課題が発生したらその改善をするという活動の中から、学生エンジニアの素晴らしかった点(能力)を挙げて終わりにしたいと思います。

・5日間で課題発見からプロト構築に至るPoC実施をやり切れる達成能力
・初めての仲間でもすぐにチームとして活動が出来る柔軟性とコミュニケーション能力
・初めての開発環境、言語でも貪欲にかつポイントを押さえて習得できるスキル獲得能力

この3点は、社会人エンジニアの我々にも必須の能力です。

今後も学生向けのハッカソンを計画しています。
また、この活動を社員や社外のエンジニアの参加型で開催できれば、より素晴らしいプロダクトが生み出せるのではないかと考えています。

次回以降もご期待ください!

*1 顧客の課題、メリットや悩みなどを洗い出し、サービスの価値を導き出す手法。
*2 エレベーターに乗っているくらいの短い時間(15~30秒)で自分自身や自社のビジネスなどについてプレゼンする手法のこと。

著者プロフィール

森 隆彦

技術開発部 統括部長

お客さまのビジネスに貢献するITサービスの提供を、ITアーキテクトとして戦略的情報化企画から開発、運用まで、幅広くアシストします。エネルギー系企業や金融系企業などのシステム構築経験をバックボーンに、高可用性が求められるシステム開発における非機能要件定義やデータモデリング、パフォーマンスチューニングを得意としています。また、社内外のITアーキテクトコミュニティの運営にも携わり、ITアーキテクト職の啓発および後進の育成を推進しています。



※ 所属部署・役職は2021年3月以前のものです

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