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【対談コラム】社員支援という仕事(後編)~求められる働き方とは何か?~

小宮 嘉朗

2023.07.10

前回の【対談コラム】社員支援という仕事(前編)~求められる能力・スキルとは?~に引き続き、二名のリーダーが具体的に工夫していることや、実施している施策、今後の展望などを聞かせてもらいたいと思います。

-小宮:社員支援の業務で工夫していること、施策などはありますか。

北見:いろいろなタスクを実施するなかで、無駄な作業や課題を抽出して改善するようにしています。結局、お客様の業務が大変だからこそ社員支援のニーズがあると思います。それでも、お客様の業務を現状のまま受け入れるのではなく、より効率よく進められる方法を模索しながら業務を改善していくことが大切だと考えています。

小山:当社はさまざまなお客様先で社員支援のビジネスを展開しています。これまでの良い事例や経験などを活用し、より良くしていくことが強みです。とはいえ、お客様ごとにそれぞれの企業文化があり、以前に上手くいったことが必ずしも上手くいくという保証はありません。新しいお客様には、今までの経験が固定概念にならないようにゼロベースでスタートすることが重要だと思います。

小宮:私もそれぞれの企業文化があることに関しては同感です。変えることも大切ですが、お客様に寄り添って支援することが重要だと思います。具体的に企業文化の違いで気を付けていることはありますか。


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左から小山氏、小宮氏


小山:
社員支援に任せられるタスク(権限)が異なるので、注意が必要だと思います。お客様でなければ出来ないタスクは受けられませんが、一部権限移譲されているタスクは実施することもあります。ただし、多くの権限が付与されることはリスクもあり、どこまでやるべきか、やる場合の責任範囲や進め方などは注意する必要があります。お互いに不幸な結果になることもありますので、それぞれの企業文化にあったスコープ定義をすることを心掛けています。
また、品質の考え方もお客様によって違いが出てくる部分だと思います。開発のように明確な品質指標がないため、お客様がイメージしている支援タスクがゴールと考えています。この「ゴールのイメージを正しく共有する(外さない)」、加えて「無理なゴールなら依頼時に実現性のあるゴールでイメージを共有し合意する」、要するに、お客様からの要望を外さないのが前提で、これに+αの気配りができれば良いということだと思います。


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北見氏

北見:品質に関してはもう一点、考え方があると思います。私は社員支援だからといって開発をしないわけではないと考えています。製造に関しては、開発ベンダーが担当しますが、システム要件定義や設計・テストの上流工程では受入れのレビューを実施し、システムの品質を担保するタスクが多くあります。そこで必要となるのがレビューアスキルです。近年ではオフショア・ニアショアの活用、ローコード・ノーコード開発の普及からコーディングをする機会は減っています。社員支援というと、開発はしないイメージを持たれがちですが、実際は設計や受入れ検証を行いますし、これは開発工程の一部です。従来のシステム開発で培ったITスキルを、受入れの観点で発揮することが重要だと思います。

小宮:お二人の意見から、やはり人間力とシステム知識は大切なのだと、改めて感じました。業務知識は後からでも覚えられるので、人間力>ITスキル>業務知識のプライオリティでスキルを有している人財が必要なのだと思います。IT人財に限らないかもしれませんが一般的にいわれる「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の人間力の要素は持っていて当然のことなのですが、身に付いていないケースもあります。

-小宮:品質を保つために、具体的に行っている施策はありますか?

小山:具体的な活動として、社員支援業務で必要となる情報の可視化を行っています。例えば、①ガイドラインやマニュアル等の資料作成、②既存資料の保守(最新化)です。これらの資料を活用し、各メンバーが効率良く・一定の品質を保ち・単独で作業を実施できるよう取り組んでいます。また、可視化した資料はそのままにするのではなく、常にアンテナを張って情報収集を心掛け、資料を最新化(陳腐化を防ぐ)していくことが大切です。課題会議や各案件推進などで得られる情報をもとに、より良い資料への改善を図っています。

北見:私のチームでもドキュメントなどを使用して一定の品質を保つことを実施しています。それに加えて、コミュニケーションを密に取り、相談しやすい環境の整備を心がけています。結局、人との関わりが多い業務のため、良好な人間関係をステークフォルダーと構築することは、最も重要かもしれません。

-小宮:社員支援の仕事に関して色々とお話していただきましたが、最後に今後の展望を伺って終わりにしたいと思います。

小山:お客様のIT部門は慢性的な人財不足で、その傾向は今後も続くと感じています。お客様は諸々の事情から、兼務やローテーションなどで一つのシステムに深く携われない場合も多く、このような事情から、社員支援のニーズがあると考えています。お客様へ臨機応変に対応しながら、それぞれの事情に寄り添って活動できる社員支援の人財を育成し、多様なニーズにお応えできる組織へ成長させていきたいと思います。

北見:近年、システム開発は特別なものではなくなってきていると感じています。ユーザー部門とIT部門の垣根は徐々に低くなり、ユーザー部門が直接システムを開発する日が来るかもしれません。今まではIT部門のお客様への支援が主流でしたが、これからはユーザー部門のお客様への支援もできるような組織に成長させていきたいと考えています。保険の業務知識を活用したITコンサルといったイメージです。メンバーが新しいステージに進めるよう頑張っていきたいと思います。

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左から北見氏、小山氏、小宮氏

小宮:自由な働き方が広がるなかで、今後プロジェクト参加型の就業体系に移行する可能性も聞かれます。会社の垣根を超え、プロジェクト単位に個人が参加できるようになり、個々の力で社会に貢献する世の中です。適応していくためには、やはりプロフェッショナルな人財であるべきです。北見リーダーがお話してくれた通り、IT部門のお客様支援からユーザー部門のお客様支援へ展開できる場を作っていくことが大切だと感じました。

最後までお読みいただきありがとうございました。本コラムを通して、社員支援という仕事への理解が少しでも深まれば幸いです。

著者プロフィール

小宮 嘉朗

法人事業本部 インシュアランスソリューション部 部長

自動車部品メーカー、ソフトウェアハウスを経て、さくら情報システムに入社しました。
IT業界転職後は生命保険会社様向けのシステム開発に多く携わり、システム開発だけなく、ユーザー部門の業務支援を通じて、業務知識を身につけてきました。
使う側、作る側双方の立場での経験を活かし、お客様をご支援していきたいと考えています。

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