法人事業本部 ビジネスソリューション第2部 グループ長
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【対談コラム】社員支援という仕事(前編)~求められる能力・スキルとは?~

小宮 嘉朗
2023.01.20
当社では、金融向けIT業務支援(社員支援)サービスを展開しており、金融業務知識・ITスキルを保有した要員がお客様先に常駐し、システム部門の支援に携わっています(下図参照)。システム保守はもちろん、ユーザー部門からの各種お問い合わせ、開発ベンダーとのやりとりなど、さまざまな業務をサポートしていますが、この仕事に求められる能力・スキルは何か、明確でないと常に感じています。
図:金融向けIT業務支援(社員支援)サービスのイメージ
今回のコラムでは、常駐している取引先で社員支援に携わっている2名のリーダーから、必要な能力・スキルや大切にしていることをインタビューしたいと思います。色々な意見を聞くことでお客様先のインサイトに到達でき、社員支援の完成形が見えてくるかもしれません。
ー小宮:まず、社員支援でこれだけは必要だというものがあれば教えてください。
北見:業務知識、コミュニケーションスキルのどちらも必須です。人との関わりが多くを占める仕事だと思いますので、お客様と円滑に業務を組み立てる必要があります。ITスキル、ヒューマンスキルを前提に、自分が思うゴールに導くことが大切です。
小山:やはりコミュニケーションスキルと読解力(理解力)ですね。昨今(コロナ禍)はメールでのやり取りが主流ですが、字面だけでなく依頼の背景を理解することが重要です。コミュニケーションの最大の目的は情報収集です。知らない情報があると業務に支障をきたし、余計なやり取りが多く発生して非効率になります。
小宮:業務知識、コミュニケーションスキル、読解力(理解力)のキーワードが出ましたが、一番と言われたらどれになりますか。
北見、小山、小宮:コミュニケーションスキル!
北見:業務は後から覚えられますし、同じ保険業界であってもお客様ごとにお作法は違うので、大前提はコミュニケーションスキルだと思います。
小山:私もそうだと思います。他のお客様で通用したことが、次のお客様で通用しないことは多々ありますし、新たなお客様先ではゼロスタートを心掛けています。
左から小山氏、北見氏、小宮氏
ー小宮:社員支援で大切にしていることは何ですか。また、それが大切だと思う理由も教えてください。
北見:ユーザー部門、IT部門、開発ベンダーなど、ステークホルダーのキーマンを見つける嗅覚が重要だと思います。欲しい情報、必要な情報を取得するために必須な力です。余計な雑音を拾うことなく、効率的な情報収集を実現します。
小山:ズバリ、段取りマン!
仕事に追われてやるのではなく、仕事を組み立ててコントロールする必要があると思います。業務が多岐にわたるため、順序立てて作業を行うことで効率化を図っています。途中でズレが生じた場合でも、早期に方向修正できることが利点です。
また、ゴールを明確にイメージし共有することも大切です。お客様とのやり取りに時間を費やすことが多いため、初期段階でゴールのイメージ共有は本当に大事だと思います。
小宮:確かに私自身の経験上でも、アンテナの張り方はとても重要だと思います。
ー小宮:社員支援で難しいと思うことは何ですか。また、解決するために工夫していることがあれば教えてください。
北見:システムの中身が見られない状況で、ユーザー部門、IT部門、開発ベンダーと会話し、良し悪しを判断しなくてはならないことです。自分の思いではどうにもならない領域が多すぎます。そのような状況でも、ユーザー部門からの問い合わせに対する回答を開発ベンダーに確認し、ユーザー部門が分かる言葉に翻訳して伝える必要があります。また、開発ベンダーに依頼する際も、ユーザー部門の依頼内容が正確に伝わるように翻訳が必要です。
小山:支援するお客様ごとに業務の経験値が異なるので、それぞれの人に合わせて動く必要があり、正解が分かりづらいことです。
工夫していることは、月並みですが空中戦を避けて、極力文書や資料での意思疎通、記録を心掛けています。会話が主体でも証跡をしっかり残して、ズレを発生させないようにしています。
北見:あと、お客様の経験に合わせて限られた時間で多くのタスクを終わらせる必要があるので、どこまで丁寧にやるかの見極めは確かに難しいと思います。
小山:でも、結局は丁寧にやっていくしかなくて、良いバランスを見つけるのは時間がかかります。
ー小宮:話を少し変えて、社員支援は人に依存することが多いと感じています。個人の能力だけでなく、IT部門、ユーザー部門、開発ベンダーごとに必要となる能力・スキルは異なるし。社員支援における品質の考え方について教えてください。
北見:ステークホルダーの評価が全てだと思います。一緒に仕事がしやすいと思ってもらうことが出来ないとダメなので。
小山:品質というとピンとこないですが、何か指標で表せないかと考えたら、支援するIT部門のお客様の負荷をどれだけ下げられたかが指標になると思います。どのくらい(領域、量)の仕事を引き取れるかということでしょうか。
北見:確かに、仕事をまるごと引き取れるとか、1言って10理解してやってくれるとかは重宝されますね。
小宮:何かわかりやすい表現(フレーズ)はないですか。
小山:結局は人間力(目配り、気配り、心配りができる人)だと思います。
北見:懐の深さ(ある程度、無理が利く)とか鈍感力(ストレス耐性(ポジティブシンキング))も要素になると思います。
小宮:私も経験上、この人と仕事がしたいと思わせることが重要だと感じています。お客様に寄り添って業務に携わること、小山さんの言う「目配り、気配り、心配り」に近い感覚です。
いくらでも話ができてしまいそうですが、今回はここまでとします。
次回は2名のリーダーが具体的に工夫していることや、実施している施策、今後の展望などを聞かせてもらいたいと思います。その上で、社員支援における必要な能力・スキルをまとめられればと考えています。
著者プロフィール

小宮 嘉朗
自動車部品メーカー、ソフトウェアハウスを経て、さくら情報システムに入社しました。
IT業界転職後は生命保険会社様向けのシステム開発に多く携わり、システム開発だけなく、ユーザー部門の業務支援を通じて、業務知識を身につけてきました。
使う側、作る側双方の立場での経験を活かし、お客様をご支援していきたいと考えています。