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ITアーキテクトコラム

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ITアーキテクトは、バーサタイリストを目指そう

2017/10/13

森 隆彦森 隆彦

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  • ITアーキテクト概要

先日、JISA(一般社団法人情報サービス産業協会)のITアーキテクトコミュニテ
ィにて、「ITアーキテクトの役割再考」というテーマで発表とディスカッション
を行いました。
今回は、このITアーキテクトコミュニティでのディスカッションの内容を中心に
お話ししたいと思います。前回コラムに引き続き、これからのITアーキテクトに
求められる役割に関する話題になります。

「ITアーキテクトの役割再考」の発表内容

まず、ディスカッションのインプットとなった発表内容を整理します。

ITアーキテクトの誕生と現状

「ITアーキテクト」が定義されたITスキル標準(ITSS)は、2002年に経済産業
省によって策定されました。大規模なオープン系プロジェクトのQCDを遵守する
ために、プロジェクトマネージャやアプリケーションスペシャリスト、ITアーキ
テクトなどの役割が定義され、その結果システム開発の分業制が加速しました。
しかしながら、職種が定義されたことにより職種の間に壁ができ、相手の役割に
無関心になってしまうという弊害が生じることがあります。また、ITアーキテク
トはプロジェクト全体を横断して活躍すべきという意識が低下し、プロジェクト
内の円滑なコミュニケーションを妨げてしまうケースも出てきました。

これからのITアーキテクトの役割

クラウド技術を活用することでインフラやプログラムを部品として容易に扱える
ようになり、これまで細分化していた各職種の役割を一人で複数領域をカバーす
ることができるようになりつつあります。開発効率を高める余地がわずかしかな
い中で、これからのITアーキテクトはITサービスの価値向上と創出に注力すべき
です。

ディスカッション内容

「ITアーキテクトの役割再考」の発表後、ディスカッションを行いました。ディ
スカッションでは、コミュニティメンバーが意見を書き込んだ付箋をボードに貼
りながら説明し、最後にそれらを整理する手順で行いました。

ITアーキテクトの役割の変化

「プロジェクト規模とフェーズによって役割は異なる」「今後、大規模プロジェ
クトそのものやフェーズという概念が無くなる可能性も考えられ、それに伴いIT
アーキテクトの役割も変化するだろう」との意見がありました。
そして、これからのITアーキテクトの役割としては、収益性の向上を意識してお
客様のCIOやCTOと対等に会話を行い、各種クラウドサービスやデータの利活用
を提案することが求められるだろう、といった意見が多く出ました。

これからのITアーキテクトが習得すべきスキル

ディスカッションでは、習得すべきスキルとして次のような多岐にわたるスキル
が挙げられました。

・マネジメントスキル、特にアジャイルプロジェクトを推進するためのスキル。
・クラウド関連スキル、特にAWSやMicrosoft Azureの動向、動的型付言語や
 KVS、自動テストやインフラの自動化スキル。
・ABテストやデータ分析など、ITサービスを改善し成果を上げるために必要な
 スキル。

上記の 'これからの役割' や 'これからのスキル' に関して、全てをマスターするこ
とはスーパーマンでない限り不可能です。役割やスキルのスコープを得意分野に絞
らなければ習得できる知識・経験は浅く広いものとなり、専門性が無くなってしま
います。個人の限界を認識し、目指すべき方向性を探ることが必要となります。

これからのITアーキテクトは、バーサタイリストを
目指そう

一人で全ての職種のスキルを保有してシステム開発することができるエンジニア
をフルスタックエンジニアと呼び、エンジニアの理想形として話されることがあ
ります。しかし、今回のディスカッションを通して、改めてそれは現実的ではな
いと感じました。
これからのITアーキテクトは、自身のビジネス価値を見出し、それを実現するた
めに必要となるいくつかの専門性を保有する '多能工'、つまりバーサタイリスト
を目指すべきだと思います。バーサタイリストは、π(パイ)型やクラゲ型人材
と呼ばれることもありますが、幅広い浅い知識と複数の相乗効果が期待できる専
門知識を保有する人材のことです。

筆者はこれからのITアーキテクトとして求められる専門性として、'迅速なサー
ビス提供と品質を担保するアーキテクチャ構築スキルをもつこと' が核となり重
要であると考えています。具体的には、クラウド上のサーバ群の作成からアプリ
ケーションの自動ビルド、配置、そしてテストまでを自動化するアーキテクチャ
を構築し、サービス提供までのスピードと品質の両方を高めるアーキテクチャを
設計するスキルです。
また、'バーサタイリスト体制によるマネジメントができること' も重要であると
考えます。複数人のバーサタイリストが存在するプロジェクトの中で各メンバー
が発揮するスキルを見極め、配置することで、プロジェクト推進に寄与すること
ができます。

自身の専門性とそれに何を追加すればよりビジネス価値の高い人材になることが
できるのか、ぜひ一度考えてみてはいかがでしょうか。できれば、複数人でディ
スカッションすることをお勧めします。考えもしなかった選択肢や、独りでは気
付くことができない自身の強みがきっと見つかるはずです。

 

  • ※AWSは、米国その他の諸国における、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の登録商標又は商標です。
  • ※Microsoft Azureは、米国Microsoft Corporationの米国及びその他の国における登録商標又は商標です。

著者プロフィール

森 隆彦

森 隆彦

開発本部 ビジネスソリューション第1部 コーポレートシステム第2グループ チーフコンサルタント

お客さまのビジネスに貢献するITサービスの提供を、ITアーキテクトとして戦略的情報化企画から開発、運用まで、幅広くアシストします。エネルギー系企業や金融系企業などのシステム構築経験をバックボーンに、高可用性が求められるシステム開発における非機能要件定義やデータモデリング、パフォーマンスチューニングを得意としています。また、社内外のITアーキテクトコミュニティの運営にも携わり、ITアーキテクト職の啓発および後進の育成を推進しています。

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