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COLUMN

BizTechコラム

ITアーキテクト育成

「ITアーキテクト体験ひろば」活動紹介 その4

松澤 文明

2017.01.10

「ITアーキテクト体験ひろば」の事務局をしております松澤です。

前回のコラムでは、主にシステム開発を受注するベンダー側が行うRFPから提案までのアクションについてご紹介しました。
今回は、提案を無事通過し、システム開発プロジェクトの開始に向けて行う、プロジェクトチームの発足や要件定義に関する活動内容をお伝えします。

■ 第10回 プロジェクト発足(マルチタスクゲーム、チームビルディング)

プロジェクト計画を立案し、チームを組成してプロジェクトを牽引するのはプロジェクトマネージャの役割ですが、ITアーキテクトはプロジェクト立ち上げ時からプロジェクトマネージャと密に連携を取らなければなりません。
前半では、プロジェクトマネージャとITアーキテクトの役割の違いや、プロジェクト計画に必要な知識であるプロジェクトマネジメントプロセスやプロダクトプロセスを理解するための教材を用意し、後半は強いチーム作りを疑似体験できるようゲーム形式で学べるものを用意しました。
・ プロジェクトの立上げ
 プロジェクトについて「プロジェクト憲章」「プロジェクト計画書」の詳細や役割などを学習しました。
・ マルチタスクゲーム
 複数のプロジェクトを同時に実行することを想定し、複数のタスクを同時に実行することの効率の悪さをゲーム形式で体験しました。
・ チームビルディング
 プロジェクトを成功させるために、チームメンバーが一丸となって行動することの重要性や必要性を、ゲームを通じて体験しました。

プロジェクトの目的や方針をチームメンバーと共有し、さまざまな壁を一緒に乗り越えていける強いチームを作成することが重要になります。強いチームを作るためには、スキルの高いメンバーを集めるだけでは難しく、縦にも横にも円滑なコミュニケーションを取り、軸となる方針を共有して進めることが大切であることを学びました。

■ 第11回 要件定義(前半)(ユースケース作成、クラス図作成)

要件定義は、システムの「あるべき姿」を明確化・整理した上で、機能、品質などについて具体化し、お客様と合意するプロセスになります。今後のシステムの行く末を決めるタスクでもありますので、最重要タスクと言っても過言ではありません。その中でお客様と密にコミュニケーションを取り、システムを具体化していく2つのアプローチ方法を身に付けるため、次の内容を用意しました。
・ユースケース作成
 機能的要求を把握するために利用するユースケースについて、提案書を元にユースケース図およびシナリオの作成を行いました。
・クラス図作成
 作成したユースケースを元に、クラスの過不足、属性や関連などがきちんと洗い出されているかを整理し、具体的なクラス図の作成を行いました。

■ 第12回 要件定義(後半)(品質特性シナリオの抽出)

システムを構築するためには、機能面の具体化だけではなく、お客様が要望した機能をどのように利用していくかを考える必要があります。「システムの動きが遅い」、「利用したい機能が期待した通りではない」という状態になっては意味がありません。
そのため、機能要件に加え、ユーザーがどのように利用するのかを検討し、あらかじめ品質特性を定義しておくことで、ストレスのないシステムを構築することが出来ます。
第12回では、品質特性を洗い出すアプローチを理解するために次の内容を用意しました。
・品質特性シナリオの抽出
 提案書とユースケースの事例を元に、6つの要素(刺激、発生源、環境、成果物、応答、応答測定)を考慮したシナリオの作成を実践形式で体験しました。

今回は第10回から第12回までの活動をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?

コラムの冒頭でもお話いたしましたが、あらゆるシステム構築において、要件定義が最も重要なタスクのひとつであると言えます。ITアーキテクトとして、システムが与えるお客様のビジネスへの影響や付加価値を考慮し、要望や要求を正しく理解し具体化する視点が重要です。システムの構築にゴールを置くのではなく、その先にあるユーザーまでを見据えた目線でシステムを考えていくことがITアーキテクトとして最も重要な要素
になるのではないでしょうか。

著者プロフィール

松澤 文明

技術開発部

ITアーキテクトとして、ソリューションを企画し、社内のみならず社外のお客様へ提供しています。金融系企業などの基幹システム構築やパッケージ製品及び当社独自のフレームワーク作成(PHP)、モバイル開発の標準化、金融系企業などの基幹システム構築経験をベーススキルに、モバイルシステムや企業全体を守るためのセキュリティなどの企画全般が得意です。また、社内外のITアーキテクト系のコミュニティへの参加や運営にも携わっています。

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