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COLUMN

役員コラム

エンジニアと企業が第四次産業革命に立ち向かうために

鍵川 毅

2018.12.10

昨今のIT業界を眺めていると技術的な要素に関する話題が非常に多岐に亘っていると感じています。

2016年の世界経済フォーラム(ダボス会議)以降、第四次産業革命という用語が取りざたされ、さまざまな分野での技術革新が始まっているとの認識が共有されました。振り返ってみると、1980年代より始まったとされる第三次産業革命とはいわゆるデジタル革命と同義であり、デジタル技術の進歩と社会への浸透による産業革命でした。
そして、第四次産業革命はデジタル革命を基盤としつつも、物理・デジタル・生物圏の間の境界を曖昧にする技術の融合が特徴であると言われています。
例えばデジタルと人間の頭脳との融合がAI(人工知能)に発展するといった具合です。
そのような背景を鑑みると、技術要素が多岐に亘るという状況も合点がいきます。

第三次産業革命ではデジタル技術の進化といった要素のみが技術的側面として表出していた訳ですが第四次産業革命では、(デジタル技術×生物)または(デジタル技術×物理)といった二次元的な要素に対する技術的側面が各々で進展するという様相を呈しています。
技術による社会への恩恵という意味において、これは歓迎すべきことであり望ましい方向ですが我々ITエンジニアにとっては少々厄介な時代とも言えます。

第三次産業革命時期の技術的な要素に対するITエンジニアの取組は、一部の専門家を除いて全体像の把握と概念の理解から始まり、包括的な技術要素の取得に努める傾向がありました。これはさまざまな技術要素の中から、課題解決に有効な技術要素の選択がITエンジニアにとって重要なミッションであったことによります。
しかしながら前述したように二次元的な技術要素の進展に伴い、包括的な技術要素の取得が困難な状況となっています。
また個々の技術要素に対する理解の前提となる知識領域を生物や物理面に拡大していく必要があります。つまり我々ITエンジニアは技術的側面において領域を特定し専門特化することが求められています。

このエンジニアの専門特化という波は、組織のありようを大きく変遷させる起爆剤に成り得ます。「組織としての網羅性ではなく、個人としての専門性追及の総和として組織が存在し、組織は個人の支援者としての役割のみを果たす」といった組織論にまで発展する可能性が高いと感じます。
少し大げさな物言いかもしれませんが、「労働集約的な組織管理から離れ、知識集約的な組織論に対応したIT企業のみが生き残っていく」という時代が目の前に迫ってきているのではないでしょうか。

第四次産業革命によって社会に起こる変化はさまざまな分野において革新的な変化となることでしょう。そのような社会変革時代では、エンジニアや企業もその在り方を既存の延長線ではなく、その時代に適応して変化していく必要があります。
進化論を唱えたダーウィンは、

「この世に生き残る生き物は、最も力の強いものか。そうではない。
最も頭のいいものか。そうでもない。それは、変化に対応できる生き物だ」

という考えを示したと言われています。胸に刻みたいと思います。

著者プロフィール

鍵川 毅

エグゼクティブフェロー

都市銀行の勘定系システムから大手電気機器製造業の製販システムなど、多岐に渡る業種のシステム開発を担当してきました。現在は、エグゼクティブフェローとして、主に大規模プロジェクトの統合マネージメント・品質管理マネージメントを担当し、SCMソリューションに関する研究活動に従事しております。



※ 所属部署・役職は2021年3月以前のものです

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