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MaaSビジネスの本丸は「共通データ基盤」

鍵川 毅

2019.08.09

先日、スマートシティーとMaaSに関するセミナーに出席しました。
セミナーでは主にMaaSの大都市における地域課題の解消に向けた可能性と方向性に関する講義が行われたのですが、大変興味深い内容でした。
ところで皆さんはMaaSと言う単語からどの様な事柄を連想するでしょうか?
参考までにいうと、WikipediaではMaaSは以下の様に記載されています。

 

MaaS (Mobility as a Service)とは、運営主体を問わず、情報通信技術を活用することにより自家用車以外の全ての交通手段による移動を1つのサービスとして捉え、
シームレスにつなぐ新たな『移動』の概念。

 

MaaSはモビリティサービスの統合や機能面に応じて0から4までの5段階にレベル分けされています。
レベル0の「統合なし」では公共交通機関・タクシー・駐車場の利用サービスなどはそれぞれの業者が個別に提供しているレベル。
レベル1の「情報の統合」では異なる交通手段の情報を一括して検索できるレベルでナビゲーションアプリによる経路検索などが代表的なサービス例です。
以降、レベル2は「予約・支払いの統合」、レベル3は「提供するサービスの統合」レベル4は「社会政策の統合」と続いていきます。

現在、MaaSは適用地域の特性に応じて、大都市型や地方郊外型、観光地型など異なる地域課題の解消に向けた実証実験が行われています。
国土交通省の開示情報によると本年から全国で先行モデル事業が19件ほど選定され推進されています。首都圏近郊で推進されているモデル事業は神奈川県の箱根を中心としたエリアでレベル2やレベル3の実証実験が行われています。

この箱根での実証実験で注目すべき点としては、『MaaSアプリケーションへの提供を前提とした"オープンな共通データ基盤を構築"し、他交通事業者や自治体が開発するMaaSアプリケーションで活用できる形態とする』という「他地域のMaaSとの連携に向けた取り組み」となっていることです。

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同様の取組は他事業では「MaaSデータ統合システム」という名称にて計画されています。

このデータ基盤は大きな可能性を秘めています。
想像して見てください。共通のデータ基盤の上で稼働するサービスでは、将来的には「渋滞の発生しない道路」「待ち時間の発生しない公共交通」「いつでも空いている駐車場」というようなサービスを実現することも可能なのです。従って多くのビジネス機会がそのデータ基盤上には存在します。まさにイノベーションの宝庫であると個人的には感じます。
当社ビジネス領域から見ると「レベル2の予約支払いの統合」に目が行きがちですがMaaSビジネスの本丸はこの共通データ基盤であると確信しています。

著者プロフィール

鍵川 毅

エグゼクティブフェロー

都市銀行の勘定系システムから大手電気機器製造業の製販システムなど、多岐に渡る業種のシステム開発を担当してきました。現在は、エグゼクティブフェローとして、主に大規模プロジェクトの統合マネージメント・品質管理マネージメントを担当し、SCMソリューションに関する研究活動に従事しております。



※ 所属部署・役職は2021年3月以前のものです

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