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COLUMN

業務効率化

RPAはAIの夢を見るか?

菊池 直幸

2020.02.21

既に誰かが書いていそうなネタで恐縮ですが、私も「事務作業の効率化」の観点から話をしていきます。

RPAの紹介をすると、いわゆるAIと混同して認識されている方がいまだにそれなりの数います。>もちろんRPAとAIは全くの別物ではあるのですが、RPAについて「何でもできる魔法のツール」(!?)というセールストークを受けているため、このような認識が埋め込まれてしまったのではないでしょうか。

RPAとAIの違いをたとえ話も交えて語るとするならば、何になるでしょうか。自動車免許を取得する際に、「認知(目)」-「判断(脳)」-「操作(手)」と教官に言われた方も多いでしょう。これを昨今の情報システムトレンドに当てはめると、「認知(IoT)」-「判断(AI)」-「操作(RPA)」と置き換えることになるかと思います。私は判断を行うのはAIで、判断した結果に基づき操作するのがRPAだと認識しています。

とはいえ、これもまたややこしいことにRPAにAIを取り込んでより高度な自律処理を目指す動きがベンダー各社において顕著になっています。当社が提供しているRPA製品の開発・販売元であるUiPath社は、UiPath AI Expo(*1) というイベントを開催し、AIとの親和性の高さや今後のロードマップを説明していました。この先、RPAベンダーやAIベンダーは、さらにRPAxAI路線をアピールし、製品の機能拡張を進めていくことでしょう。

それでは事務作業の現場にRPAxAIの波が怒涛のように押し寄せてくるのでしょうか。私は、「1.その業務にAIが本当に必要か」「2.RPAの中にAIを取りこむ必要が本当にあるか」の2のポイントから、そうではないと考えています。

事務作業の現場に求められるものは「決められたものを決められたとおりに実行する」ことです。そこに「AIがうまくやっておきました」という、その場に応じた操作が本当に必要なのでしょうか。さらに付け加えれば、事務作業の現場において、どのような判断を基にその結論が出たのかわからない操作を、本当に実施しなければならないのでしょうか。

私の今の判断は、「どちらともNo」です。特に事務作業においては、「正確性」「明確性」「説明可能性」が求められると思っています。
・AIが「正確な判断をしているか」  
・AIが「明確な判断基準を持っているか」  
・AIが「判断した基準を明確に説明できるか」

AIが得意とするものは、明確なルールや基準が無い中で過去の経験や大量データの類似性や関連を基に答えを導き出すような業務です。しかしながら、そのような業務が事務作業において発生するのかというと、今の私には考えることができません。

正確な判断をするためには基準が必要です。その基準は適切であるかレビューされ、最終的には操作マニュアルに落とし込まれます。過去にない取扱やデータが発生した時に、担当者の勝手な判断で(それがたとえ高度なスキルを持った担当者であっても)作業を進めてしまえば、上司は困ってしまうでしょう。現時点で事務作業に期待されていることは、上司の判断基準が明示され、レビューされ、最終的には操作マニュアルに記載されて、担当者はマニュアルに沿って事務作業を行うということなのではないでしょうか。その意味では、判断基準を明確にルール化するBRMS(*2)の方がRPAと相性が良いかもしれません。





・・・などと書いておいて、数年後には事務作業においてもRPAxAIが当たり前の世にな
っていて、赤っ恥なコラムになっているかもしれませんけれども。

著者プロフィール

菊池 直幸

法人事業本部 デジタルソリューション部

2017年からUiPath関連の業務に従事。担当領域はプリセールス、コンサルティング、環境構築、ワークロー作成、教育、ヘルプデスクと多岐に渡る。UiPath Communityにも時々出没しこっそりアドバイスを実施。休日は出っ張ったお腹を引っ込めるために自転車を漕いでいます。



※ 所属部署・役職は2021年3月以前のものです

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