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COLUMN

業務効率化

RPA導入

RPAの大義と推進力 2 ~RPA展開には「大義」が必要~

菊池 直幸

2019.09.10

前回の「大義」に引き続き、今回は「推進力」について話をしていきます。

現場でRPAの評価をした結果、「いいね!」となったものの、自部門に定着、ひいては社内に展開が進まない理由は、大別すると次の3点に分けられます。

1.【作れない】
Excelマクロの様に自分たちの手で作ろうと頑張ったが、自部門のメンバーにロボットシナリオを作るスキルが定着していない、また、パワーが足りない

2 .【上手く作れない】
ロボットシナリオを作れるようにはなったが、標準的な作成ルールや設計書を定義できず、野良ロボットになってしまいそうで進められない

3 .【社内ルールに合わせられない】
ロボットシナリオの数は増えてきたが、監査部門や情報システム部門から社内ルールに合わせるよう指導が入り、その対応に追われロボ ットシナリオ作成に手が付けられない


これらに共通するのは、いずれも「現場部門の本業ではない」作業であると私は理解しています。現場の業務を楽にしたくてロボットを入れたいのに、楽になるために余計な作業をしなくてはなりません。また、一時的な効率低下と頭では分かっていても許容できず、RPAを進めるよりも現場の業務を滞りなく進める方が大事であると判断した結果、RPAが後回しにされていたりします。そうやって、せっかくの業務改善が尻すぼみになってしまう、ということが現場で起きているのではないでしょうか。

私は、このような余計な作業(必要な作業ではありますが、敢えて言います)は、現場の人間がやってはいけないものだと考えています。それでは誰がこのような仕事をすればよいのでしょうか。その問いに対する私の答えは、「COE(Center of Excellence:中核研究拠点)」※1です。現在RPAの世界では、COEという組織がこのような仕事を行うとの考え方が一般的になりつつあります。

COEが社内の既存ルールとRPA化で策定するルールのすり合わせを行い、RPA推進・定着に向けたタスクを実行していきます。ロボット開発チームを組成し、現場が必要とするロボットを作成します。ライセンスの管理やサーバ運用といった仕事も引き受けてもらいます。 現場には現場の業務を効率的に実行することに注力してもらい、それを支えるCOEがきちんと支援体制を取ることがRPAの推進には必要です。

とはいえ、そのような体制を作ることは簡単ではありません。だからこそ、「なぜRPAを導入するのか」という大義が必要なのです。その大義のために、社内のしかるべき部署に協力をしてもらい、人員を確保してもらう必要があります。そのために現場がやるべきことは、「RPAの評価で結果を出すこと」「出した結果を社内にアピールすること」「協力者を増やすこと」だと思っています。

「ニワトリが先か、タマゴが先か」的な話になってきましたが、RPAを本格的に活用していくのであれば、現場部門の奮闘だけではいずれ限界が来てしまいます。そこであきらめてしまうのではなく、「COEという組織を立てることでRPAは上手く進んでいく」 「RPAの全社的な展開にも効果がある」というアピールを是非実行していただきたいです。 場合によっては社外のベンダーにCOE立ち上げに関するアドバイスを貰ったり、情報システム部門との打ち合わせをセッティングするのも良いでしょう。COEの体制を整えていきながら、社内の各部門に対し協力を仰ぐことが、自組織にRPAを定着させるための近道になると考えます。

著者プロフィール

菊池 直幸

法人事業本部 デジタルソリューション部

2017年からUiPath関連の業務に従事。担当領域はプリセールス、コンサルティング、環境構築、ワークロー作成、教育、ヘルプデスクと多岐に渡る。UiPath Communityにも時々出没しこっそりアドバイスを実施。休日は出っ張ったお腹を引っ込めるために自転車を漕いでいます。



※ 所属部署・役職は2021年3月以前のものです

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