MENU

 

COLUMN

人事コラム

人材管理

人材ポートフォリオについて(3)

下里 祐司

2015.12.29

前回は、人材ポートフォリオに対して、どの様にアプローチしていくのかをご紹介させていただきました。

現状を把握する為に必要な情報とその収集 ⇒ 蓄積 ⇒ 抽出までの流れについてお勧めの方法をご確認いただけたかと思います。今回は収集・蓄積した情報をどの様に活用していくのか、その方法や事例についてご紹介させていただきます。

「人材ポートフォリオ」に基づいて収集・蓄積された情報は、現在の「人材マップ」を把握すると共に、将来目指す人材ポートフォリオとのギャップの洗い出しに活用できます。
ここではまず、ギャップ分析を行う為に必要な情報と、収集・蓄積する際の注意点をご紹介していきたいと思います。


①スキル保持状況の把握
将来対象スキルを保持する人材が何人必要になるのかに対して、現在そのスキルを保持した人が何人在籍しているのかを把握する必要があります。

【注意点】
自然減少(定年退職等)する人数はどの程度なのか、同一人材が複数のスキルを保持している場合には、人は割ることはできない為、延べカウントしない等、実態に合わせた把握をしなければなりません。

 

②年齢ピラミッドの把握
現在の年齢ピラミッドを把握し、成行き予測をおこなうことで、今後の採用方針や人材資源の拡張・調整を行うことが可能になります。年功要素の強い制度を採用している会社では、今後の人材コスト推移の把握に有効です。
スキル習得に多くの経験が必要となる熟練工が事業維持の中心となる業態では、将来のスキル保持人材の予測を行う大切な一要素となります。

【注意点】
コスト推移で使用する場合には、現状と共にモデル賃金カーブを用いて、自社の標準的な推移で分析を行う必要があります。

 

③資格層・役職の把握
現在の資格層・役職者の人数を把握し、制度に基づく成行き予測をおこなうことで、今後の事業展開や組織維持に必要な役職者や資格層が、このままの状態で確保し続けられるのか、ギャップ(余剰・不足)があるのかを確認することが可能になります。

【注意点】
成行き予測を立てる場合には、現在の制度での昇格モデルや標準在留年数が必要となります。

 
以上、ギャップ分析の為に必要となる情報を3つご紹介しました。

さらに、データは組み合わせることで付加価値を生み出すことがあります。
以下に、人材データを人材管理に活用した事例をご紹介します。

ある会社では、製品の設計において歩留まりが高くコスト効率の良い設計技術を持った人材が、どのくらいの人数が在籍するのか確認する為、社内の経歴と共に抽出しました。
その際に過去の社内経歴より、抽出した多くの人材が購買部門の経験者であることが判りました。購買部門での経験が、コスト意識を上げると共に、より安価な材料や部品の設計を行う知識・スキルとして醸成されていたことが後に判明します。

このように人材データを一括管理し、様々な切り口で抽出ができれば、一見無作為な集団にも共通点が見つかり、それが今後の人事戦略の糸口となるケースも少なくありません。人材ポートフォリオを実現する為のデータ収集・蓄積・抽出する仕組みそのものが、統合的な人材管理の重要な一部分を担う存在となります。

ただ、データや仕組みは重要な一部分であり、戦略や方策を検討し打ち出すベースとはなりますが、それだけでギャップを解消できるものではありません。活用してこそ価値が高まるものです。

 
次回は、今回ご紹介した活用事例を元に、どの様にギャップを解消していくのか、よくある手段をご紹介させていただくと共に、システムによるサポート方法もご紹介致します。

 
今後も不定期にコラムを掲載させていただきます。
ご興味を持っていただけた方は、次回もご覧いただければと思います。

 

著者プロフィール

下里 祐司

サービス事業本部 HRS第2部 部長

人事給与、社会保険、ITと複数の視点で業務改善からシステム導入、運用構築までをワンストップでサポートします。
IT技術をバックボーンに人事部経験や社会保険労務士の知識を活かした人事給与業務の業務改善、効率化、システム化を得意としています。



※ 所属部署・役職は2021年3月以前のものです

この記事をシェアする

比較検討や社内説明に役立つ
資料をご用意しております。

導入前のご質問・ご相談など、
お気軽にお問い合わせください。