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Excelでの予算管理が大変になる理由と解決策
2023.09.05
予算管理は、企業が経営計画を実現するために欠かせない重要な業務です。しかし、Excelを使った予算管理にはいくつかの課題があるため、それらを正しく理解した上で、適切な運用を行わなければなりません。
本記事では、Excelでの予算管理が大変になる理由とその解決策について解説します。
このコラムの内容
・Excelでの予算管理が大変になる理由
・Excelでの予算管理における注意点
・Excelでの予算管理を効率化する方法
・予算管理システムの導入も検討してみましょう
・まとめ
お役立ち資料
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予算管理や連結決算に課題を感じている経理部門や経営管理部門の方に、ぜひ見ていただきたい内容です。こちらも是非お役立てください。
Excelでの予算管理が大変になる理由
Excelはビジネスで利用される機会も多く、売上や経費などの予算編成や実績との比較を行う際にも活用しやすいツールです。しかし、部門や月別のデータ集計作業が煩雑になるなど、経理担当者にとって予算管理業務は大きな負担となる場合もあります。
Excelでの予算管理が大変なる原因としては、以下の内容が一般的です。
膨大なデータ量に対応しづらい
Excelは表計算ソフトとしてさまざまなデータを処理できますが、データ量が多くなると処理速度が遅くなり、作業の非効率化につながる場合があります。特に、複数のシートを使って管理する場合や、複数のファイルを統合させるケースでは、データ量が膨大になりがちです。
Excelのキャパシティを超えてしまうと、最悪の場合には、データ自体が破損してしまう可能性もあるためご注意ください。
手作業での入力ミスが発生する
Excelによる予算管理では、数値の手入力が多く発生します。しかし、手入力による業務が増加するほど、ヒューマンエラーが発生するリスクも高まります。
例えば、数値を誤入力した場合や、関数の書き方を誤った場合などが挙げられます。また、大量のデータを一度に入力する場合、入力漏れや重複などのミスも発生しやすくなるでしょう。
複数人での共同作業が煩雑になる
Excelで予算管理を行う場合には、ひとつのファイルを複数人で共有して作業することが多いです。Excelでは、複数人による共有機能も用意されているものの、一部機能が使用できなくなるなどの制限が生じるため、製品としての利便性は低下してしまいます。
また、Excelではデータの編集や削除が簡単に行えるため、Excelの理解度が異なる複数のユーザーが関与することによって、誤操作が発生するリスクも高まります。
Excelでの予算管理における注意点
Excelで予算管理を行う場合、適切な方法によって運用しなければ、さまざまなミスの原因になってしまいます。
実務においては、以下の項目に注意して社内ルールを整備しましょう。
ファイルのバージョン管理に注意する
予算管理業務をExcelによって複数人で行う場合、ファイルのバージョン管理が必要不可欠です。バージョン管理を行わずに運用した場合、最新のファイルの所在がわからなくなり、予算管理の正確性が失われてしまう可能性があります。
したがって、ファイル名に更新日を記載するなど、バージョン管理を行うための社内ルールを整備しましょう。また、最新のファイルを共有するだけでなく、トラブルが起きた場合に備え、過去ファイルをバックアップデータとして保管することも有用です。
入力ルールを明確にする
Excelで予算管理を行う場合には、社内で入力ルールを統一することが重要です。例えば、「ひとつのセルに複数のデータを入力しないこと」や「スペースや改行によって体裁を整えないこと」などの方法が挙げられます。
ユーザーによって書式や入力方法が異なる場合には、データ処理に余計な工数が発生するだけでなく、ミスの原因にもなるためご注意ください。
Excelでの予算管理を効率化する方法
Excelによる予算管理を効率化するためには、クラウドサービスを活用することも効果的です。特に、同じファイルを複数人で編集する場合には、クラウド上にファイルを保存することによってメールでの送受信が不要となり、バージョン管理もしやすくなります。
なお、Excelには計算式の自動化やグラフの作成、データのフィルタリングなど、さまざまな機能があります。これらの機能を活用することで、手作業による入力ミスの軽減や、作業時間の削減につながります。
さらに、Excelのマクロ機能を活用することで、複数の作業を自動化することが可能です。
マクロ機能によって、関数では行えないデータ処理や集計作業、書類作成などを自動化でき、業務全体の効率化が図れます。
ただし、予算管理ファイル自体が複雑化することで、業務の属人化などのリスクも高まるため注意しましょう。
予算管理システムの導入も検討してみましょう
先述のとおり、Excelのみの予算管理は、膨大なデータ量への対応や手作業による入力ミス、共同作業の煩雑さなど、さまざまな問題点があります。そのような場合には、予算管理システムを導入し、業務効率化に取り組むことも有効な選択肢となるでしょう。
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経営意思決定の迅速化を目指す方や既存のExcel資産を活かしてグループ経営管理の高度化を促進したい方に特に喜ばれております。
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PayPay銀行株式会社様の経営管理基盤fusion_place導入ソリューション導入事例はこちらになります。
▶ PayPay銀行株式会社様の経営管理基盤fusion_place導入ソリューション導入事例
予算管理システムを使えばExcelと同じように予算の作成や管理ができるだけでなく、データの自動集計やチームでの共同作業、実績との分析機能など、Excelにはない機能を活用することが可能です。
また、データのバックアップやセキュリティ対策など、専用のシステムを導入することによって、より安全性の高い予算管理を追求できます。
まとめ
Excelを使った予算管理は、低コストで導入がしやすい一方で、入力ミスが起きやすいことや、共同作業がしにくいなど、いくつかの課題も抱えています。
そのような場合には、クラウド型のサービスや予算管理システムの導入などによって、予算管理の効率化も検討しましょう。
さくら情報システムが提供する「経営管理基盤fusion_place導入ソリューション」は、予算収集・集計・報告の一連の予算管理業務を使い慣れたExcelも活用しながら大幅に作業効率化可能なツールです。
Excelを使った予算管理に悩んでいる場合は、当サービスの活用もぜひご検討ください。
監修者プロフィール
服部大税理士事務所/合同会社ゆとりびと 代表社員
税理士・中小企業診断士 服部 大
2020年2月、30歳のときに名古屋市内にて税理士事務所を開業。
2023年4月より公益財団法人名古屋産業振興公社 名古屋市新事業支援センターにて、会計・経営担当マネージャーに就任。
平均年齢が60歳を超える税理士業界の若手税理士として、税務顧問業務だけでなく、執筆や監修業務、講演活動にも力を入れており、「わかりにくい税金の世界」をわかりやすく伝えられる専門家を志しています。
事務所ホームページ:https://zeirishihattori.com