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人事DX(HRDX)とは? 課題と進め方のポイント
2023.07.11
ビジネスでよく話題になるDXですが、具体的な意味や定義についてご存じでしょうか?
人事領域でもDXの導入が求められますが、どのような内容なのか、どうやって実現したらよいかよくわからないという方も多いと思います。
今回の記事では、DXの概要、人事DXのメリット、実現方法などをわかりやすく解説します。本記事で重要なポイントを押さえ、人材リソースを有効活用する人事DXの足掛かりとしていただけましたら幸いです。
人事DXを取り入れて、さらなる事業の発展や業績の拡大を目指しましょう。
このコラムの内容
・そもそもDXとは何か
・人事DX(HRDX)が重要な理由とは?
・人事DX(HRDX)のメリット
・人事DX(HRDX)を実現するための手段
・人事DX(HRDX)の進め方
・まとめ:人事DXの重要性
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そもそもDXとは何か
DX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)とは、ICT(情報通信技術)により人々の生活を向上させることです。
DXは単なるデジタル化ではなく、ICTを通じて産業構造やビジネスモデルの変革を促します。IT化・デジタル化は主に効率化が目的ですが、DXはそれ以外にマーケティング、コミュニケーション促進、情報一元化、データドリブン経営などを含みます。
データドリブンとは、データに基づいて戦略の構築・意思決定・判断を行うことです。
人事においては、戦略人事、人事評価の透明化、業務効率化、ペーパーレス化などが実現可能です。
人事DX(HRDX)が重要な理由とは?
人事DX(HRDX)とは人事領域でICTを活用し、効率化やパフォーマンス向上を目指すことです。定型業務の効率化、人材マネジメント、採用活動などに人事DXは役立ちます。
人事業務は教育、採用、評価、労務など幅広い領域を担います。そのため、人事担当者は負担が大きくなりやすくコア業務に集中できません。
しかし、人事DXで業務効率化をすれば人事担当者の負担が減少し、より高度な人事業務に集中できるようになります。また、蓄積されたデータにより効果的な採用活動や人材配置が可能です。
人事DX(HRDX)のメリット
人事DXのメリットを3つ紹介します。
効率化で戦略人事へ集中できる
人事DXを実現すれば定型作業を効率化・自動化し、よりコア業務である戦略人事にリソースを割けます。
戦略人事とは人材価値の最大化のため、経営戦略と連動した戦略を人事領域で計画・実施することです。戦略人事の重要性は広く認識されていますが、実際に実施できている企業はまだ多くはありません。
人事部門は幅広い業務を担っているため、戦略人事を実施するリソースを生み出すには業務効率化が不可欠です。人事DXを実現すれば、定型業務が効率化・自動化されて戦略人事の実施にあてるリソースを作れます。
データの蓄積と可視化による人材マネジメントの高度化
スキル・特性・経歴といった従業員のデータを一元化・可視化すれば、データに基づいた人事マネジメントが実現します。データの可視化で特定のポジションの人材に共通するスキル・特性を見つけられた場合、共通のスキル・特性を持つ従業員をそのポジションに配置すれば、高いパフォーマンスを期待できるでしょう。
また、従業員にとっても希望のキャリアに向けた研修・育成を受けやすくなります。人材マネジメントの基準が透明化されると、従業員は自分の立ち位置に意義を見出して高いモチベーションを保てます。
私の知っている企業では、社内の業務で必要なスキルを細かく分割し、誰がどのスキルを持っているか可視化する取り組みを行っているケースがありました。会社側はより効果を生むための人員配置の参考になりますし、社員側からすると相対的に自分の能力はどれくらいか、会社から何を求められているのかを分かりやすく把握できるというメリットがありました。
ペーパーレス化でコスト削減と効率化
人事DXでペーパーレス化が進むと、プリンター代・保管コスト・郵送費などが削減できます。
人事DXに必要なツールの導入には費用がかかりますが、長期的には自社の成長にプラスに働く可能性が高いです。また、効率化・自動化で手作業が削減され、業務の処理速度が短縮されたりミスが減少したりといった効果も見込めます。
人事DX(HRDX)を実現するための手段
人事DXを実現するための手段を2つ解説します。
人事管理のデジタル化
人事管理をデジタル化し、業務効率アップを実現しましょう。ベンダーからは多くのツールがリリースされており、人事管理のデジタル化のハードルは高くありません。
テレワーク環境では勤務状況が見えづらく、長時間労働や仕事量の偏りが発生しがちです。しかし、勤怠管理ツールを用いれば労働時間を可視化して仕事の実態をつかみやすくなります。
また、人事システムや労務システムを導入することで、給与や税金、控除などの管理や、個人情報や福利厚生の手続きなども一括管理することができるため、人事部門の効率化になります。
人事のデジタル化は幅広い分野におよぶため、全体的な統一性を考慮しつつツールの導入を考えてみてはいかがでしょうか。
ピープルアナリティクスの導入
ピープルアナリティクスを導入して、人材の属性データ・行動・経歴・スキルなどを一元管理して課題解決に活用しましょう。
「ピープルアナリティクス」とは、人材領域において、従業員の行動をデータ分析し、生産性の向上や働きやすさの改善につなげることを言います。
企業経営では、データドリブンな手法が浸透しつつあります。ピープルアナリティクスを導入すれば、人材領域でも従業員の適性に基づいた精度の高い人材マネジメントが可能です。
ピープルアナリティクスは以下のようなシーンで活用できます。
・人材採用
・人事評価
・従業員の継続率向上・離職抑制
入社後に高いパフォーマンスを発揮している従業員のデータを分析し、採用時の指標として活用するといった方法があります。
人事DX(HRDX)の進め方
人事DXを失敗せずに進めるためには、以下の4つのステップを意識しましょう。
・目的を明確に決める
目的があいまいなままDXを推進しても、あまり良い結果に結び付きません。システムを導入するにしても、そのシステムで何をしたいのか、最終的なゴールが何なのか、「〇〇作業にかける時間を〇〇%削減する」などのように、明確に決めておくことが大切です。
・現状の分析と課題の抽出
目的が決まったら、現状の分析を行います。現状と目標にどれくらいの乖離があるかを把握し、目標を達成するうえで障壁となっているのは何か、課題の抽出を行います。
・課題の解決方法を検討して実施
課題を抽出したら、その課題を解決する方法は何なのか検討します。システムを導入すれば解決できる問題なのだとしたら、どのような機能があれば解決できるのか、社員教育や制度の見直しなど、システム以外の取り組みも必要なのか検討します。
・導入した制度・システムの効果の検証と見直し
導入した制度・システムが思った通りに成果を上げているか確認します。目標に到達していない場合、何が原因になっているのか調査します。
たとえば「入力作業にかける時間を20%削減する」という目標を立てた場合、作業内容の洗い出しや重複する作業の確認、更には定型業務のデジタル化・自動化などが課題となります。
もし「自社内で実施するのは難しそうだ」と感じた方には、業務を整理し課題解決へのサポートを行う業務棚卸サービスがあります。
お客様が課題と認識している特定の業務を丁寧なヒアリングによってリストアップし、業務フローを作成した後、効率化に向けた改善案の提案まで実施します。
業務棚卸の3つのポイントがわかる動画も公開しています。
導入実績や必要な期間、費用についてはお気軽にお問い合わせください。
さらに、課題解決のために導入するツールを検討しましょう。ツールを導入してデジタル化・自動化が完了したら、効果を検証して次の人事DXに活用してください。
まとめ:人事DXの重要性
人事DXでは、ICTを利用して人事業務の効率化・可視化を実現します。人事DXが活躍する場面は以下のようなシーンです。
・業務効率化で戦略人事へリソースを拡大する
・データの可視化・蓄積によるデータに基づいた人材マネジメント
・ペーパーレス化でコスト削減・業務の属人化の防止・ミスの低減
・ピープルアナリティクスの導入によって、採用活動でパフォーマンスの高い人材を見極める
最新の人事DX(HRDX)を進めるなら、さくら情報システムのHRAサービス(人事総合ソリューション)をご検討ください。
日本の税制度や人事制度にフィットした人事給与システムや就業管理サービス、年末調整システム、タレントマネジメントシステムなどさまざまなソリューションで構成されており、お客様のニーズに合わせて幅広く提供可能です。
導入時の手厚いサポートやBPO(※1)、50年に亘る人事給与サービスにおける提供実績により、人事業務の効率化やコスト削減、コア業務への集中を加速し、全社の生産性向上を実現します。
導入実績や導入にかかる期間、費用などは、お気軽にお問い合わせください。
※1 BPO (Business Process Outsourcing):従来は企業で行っていた業務を外部事業者に委託することを指します。業務委託やアウトソーシングなどとも呼ばれます。
これからの時代、人事DXはますます加速していきます。人事DXに取り組むことで、より競争力のある組織を目指せるのではないでしょうか。
人事DXで自社の人材リソースを有効活用し、業績向上を実現しましょう。
監修者プロフィール
はやし総合支援事務所 代表
社会保険労務士・行政書士 林 雄次
大手システムインテグレーターでシステムエンジニアとして14年ほど勤務の後、行政書士・社会保険労務士の資格を取得し独立。ITと士業、両方の知見を活かした企業支援を提供しています。東京都社会保険労務士会「デジタル・IT化推進特別委員」。
社会保険労務士・行政書士はもちろん、中小企業診断士、情報処理安全確保支援士から潜水士、防災士まで360以上の資格を持つ資格ソムリエとしても活動しています。
事務所ホームページ:https://h-office.biz/
更新日:2025年2月3日